ナイトウィザード 柊蓮司と宝玉の少女<下>

ナイトウィザード The ANIMATION 柊蓮司と宝玉の少女<下> (ファミ通文庫)

ナイトウィザード The ANIMATION 柊蓮司と宝玉の少女<下> (ファミ通文庫)

ナイトウィザード 柊蓮司と宝玉の少女(下)

著者・伊藤和幸先生&菊地たけし先生。挿絵・石田ヒロユキ先生&みかきみかこ先生。原作システム構築者に原作挿絵の二大巨頭。メインに小説部分を書いた人は最初期からのナイトウィザードスタッフの1人。ナイトウィザード関係者目白押しですね。
・登場人物
魔剣使いの柊蓮司、蓮司の幼馴染で陰陽師の赤羽くれは、メインヒロインだが色々謎の志宝エリス、謎の超人?キリヒト。サブキャラクターには別シリーズからの参加者が多いですね。リプレイ「紅き月の巫女」ヒロインだった強化人間の緋室灯、同シリーズでPCキャラの1人だった夢使いナイトメア、魔術師のマユリ=ヴァンスタイン。傍若無人の世界の守護者アンゼロット、<蝿の女王>ベール=ゼファー、他にもルールブックを持っていたりファンブックを持っている人にはお馴染みの<東方王国の王女>パール=クール、<秘密公爵>リオン=グンタ、他にも色々と魔王が目白押しで出てきています。これまでのシリーズに手を出した事がある人ならお馴染みの面々、といったところですか。
小説版作品の重要キャラとしてはゲイザー、TISといったナイトウィザード世界での超存在が出てくることでしょうか。
・シナリオ
強大な力を秘めた7つの宝玉をめぐる、魔王とウィザードの総力決戦。だがその戦いは、さらなる破滅を呼び起こす鍵でしかなかった。世界を滅ぼす危険を秘めるがゆえに、追われることとなったエリス。彼女を守るため、ともに逃走する柊だったが、ウィザードと魔王が手を組んだ最強の追撃部隊が彼らを襲う!! 一方、ふたりを案じるくれはにも陰謀の手が迫っており……!? アニメのストーリーを元に贈るもうひとつの『ナイトウィザード』ストーリー、感動の完結編!!(ファミ通文庫公式HP紹介より抜粋。)
・感想
アニメ版ノベライズ作品の完結巻です。とはいえ、あとがきにも書かれているのですがアニメ版とはまた別の形での完結、という形式を取ったようですね。
エリス自身も知らなかった自分の正体が発覚し、その危険さから全世界から狙われることになったエリス。友人であるエリスを救うため、柊は全世界―――ウィザードも魔王もひっくるめた相手から逃げる事になる。ウィザードと魔王の連合軍と言う史上最強最大の追跡部隊を相手に、柊は孤軍奮闘する。その中でやがて黒幕が動き出し、柊とエリス、くれは、他のウィザードも魔王も無い、最大の戦いが起こる―――。これらのくだりは、この事態がそれだけの大事であり、ナイトウィザード1stからナイトウィザード2ndへと続く転換期の大きな出来事のひとつであることを再確認させてくれていました。
マジカル・ウォーフェアのひとつ―――その中でも最も大きな戦い。それだけあり戦闘は終始ド派手でした。戦闘ギミックとしての七つの宝玉も、影が薄いながらも所々で登場し戦場をかき混ぜていて面白みになっていました。それら宝玉を活用して打ち出される攻撃は、普通のガンナーズブルームの攻撃や夢使いの魔法が一撃で致命に至り兼ねない強力さになる緊迫感。それらを相手に孤軍奮闘の柊の尽力。最終戦闘における各裏界魔王たちの力の振るい用と、真打として登場する<蝿の女王>ベール・ゼファーの成年体による全力攻撃。裏界の力を十二分に発揮できる代わりに世界結界のせいで消耗が激しく、裏界にあるベルの本体に危険が及びかねない為、余程の事があっても使われないベルの本当の意味の奥の手ともいえる成年体が出たのは、公式作品では初めてじゃないでしょうか。逆にいうとそれだけのかつて無い強力さが発揮されたと言う事で、それくらいの派手さだったんだな、と再認識できるわけですね。
その名に恥じない大掛かりな仕掛け。超越存在。巨大な思惑―――スケールとしても大きい話でしたね。
同時に柊が自分の意志を貫いて結果を出した話でもあるでしょうか。
数多の世界の危機に関わり、魔剣使いとしてウィザードとして『下がる』男として様々な伝説を残した柊蓮司。その彼の、ナイトウィザード1stでの最後を飾るに相応しい意地の通し様だったと思います。
キリヒトの正体も意外。蓮司とくれはの関係の進展など、とにかくナイトウィザード作品として見所の多いものになっていましたねー。