レンタルマギカ8

レンタルマギカ―鬼の祭りと魔法使い〈下〉 (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ―鬼の祭りと魔法使い〈下〉 (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ8 〜鬼の祭りと魔法使い(下)

著者・三田誠先生、挿絵・pako先生による異種魔法格闘戦ノベル、ですかね。三田先生は他にスニーカー文庫「精獣戦争」シリーズなどを書かれていて、pako先生はPS2ゲーム「シャイニング・フォース イクサ」などの原画を描かれていますね。
・登場人物
主人公の魔眼持ちで社長の伊庭いつき。ヒロインに新入社員でケルト魔術使いの穂波・高瀬・アンブラー。サブキャラクターに陰陽道でオカルト雑誌や占い誌でライター業を営む猫屋敷蓮、8歳の小学生だが巫女でもある神道の葛城みかん。騒霊現象<ポルターガイスト>を起こせ加えて顕現現象<アポート>も使えるようになった文字通りアストラル幽霊社員の黒羽まなみ。先代アストラルメンバーで、両界曼荼羅を使う頼れる兄貴的な密教法師の隻蓮。以上が魔法使い派遣会社「アストラル」陣営という形で。
純正魔法使い集団「ゲーティア」陣営ではありますが、アストラル経営権の2割を持つ大株主という立場を持つとして、穂波同様ヒロイン格ということでソロモン王の魔術使いアディリシア・レン・メイザース
この巻での他登場人物は前巻と同様で。続きですからね?
みかんの姉で彼女より優れた巫女と言われている葛城香。その香の守護役の筋骨隆々な体格を持つ紫藤辰巳。みかんと香の祖母、現葛城家当主の葛城鈴香。立場上はみかんの守護役の橘弓鶴。そして外部協力者と言う立場で葛城家に雇われている石動圭。といったところですか。
・シナリオ
いつきの奮闘空しく、葛城みかんは姉とともに“人柱”にされた。鬼と同化を始める姉を前にみかんの絶叫が響き渡り、ついに葛城家の「鬼の祭り」が開始される。次々に襲いかかる鬼どもに、ソロモン王の召喚魔神とケルト魔術の決戦魔法が唸りを上げる。大地は割れ、雷があたりを照らす時、真の敵が姿を見せる。いつき達“アストラル”は「鬼の祭り」とその陰に潜む敵からみかんを救えるのか!?古今東西の魔法が集合、異種魔法格闘戦。(裏表紙より抜粋。)
・感想
この巻は前巻の続きで、タイトルに『(下)』とあるように、この巻で騒動集結の巻でもありますね。それだけに、この巻はこれまでの事件などでアストラルの面々が得ていた『力』が大盤振る舞いに振るわれている巻でもあり、かなり派手な印象を受けましたね。
葛城の家が司り奉る『鬼の祭り』。その祭りに起因して起きた今回の騒動を、葛城みかん、葛城香、葛城鈴香、紫藤辰巳、橘弓鶴、といった鬼の祭りに囚われている関係者達を、アストラルが関係し伊庭いつきの流儀で解決する。大まかな流れはこんなものですが、その影に『螺旋なる蛇』の姿が見え隠れしたり怪しい動きをする石動圭の真意が中々見えなかったり『協会』も影で動いていたりで、全容が見えないアストラル側は色々と迷走したり策動があり、一筋縄ではいかない展開になっていて面白かったですね。
鬼の祭りの中で生まれた呪いの塊と言える『影』を相手に、自分の過去と向き合い、姉と想いを通じ合わせながら『影』に対して力を振り絞るみかん。そんなみかんたちを援護する時間をつくるため、鬼の祭りの中で生まれた巨大な力「だいだら」を相手に、ソロモン72柱の魔神からフールフール、サブノック、フォルネウスなどを召喚して立ち向かうアディリシアと、そんなアディリシアを援護する為に騒霊現象で手助けする黒羽まなみ。『影』の欠片がみかんたちに害を及ぼさないように守る猫屋敷。穂波もまた奥の手である<生きている杖>を持ち出し『影』そのものからいつきやみかんたちを守る。そんな風に、各自がこの巻では全力を出していた、という感じですね。これまでの全力を出している人はいても各自の誰かだけで、他はそれをサポートする、といった感じがあったこれまでの展開とは違い、この巻では本当に全員が全力、といった感じでした。
そして最後。巨大な『力』を相手に、アストラル=伊庭いつきを筆頭として穂波、猫屋敷、アディリシアが総力を結集して事の収集に当たる展開は、今時点でのアストラルの全力を見られる、といった趣でした。猫屋敷の六十四卦三百八十四交の陣の足場の確保、穂波のケルト魔術での空間繋ぎ、アディリシアとパスを繋いだいつきが召喚するソロモン72柱の魔神の至高の4柱の1・アスモダイによる力の調整。それら巨大な力を全て制御する妖精眼。と、アストラルが持つ巨大な力を存分に発揮し事態を収拾するそれは、これまでの事件などを通じて得たからこそ出来た結末であり、彼らの成長が伺えた姿でしたね。