レンタルマギカ2

レンタルマギカ 魔法使いVS錬金術師! (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ 魔法使いVS錬金術師! (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ2 〜魔法使いVS錬金術師!

著者・三田誠先生、挿絵・pako先生による異種魔法格闘戦ノベル、ですかね。三田先生は他にスニーカー文庫「精獣戦争」シリーズなどを書かれていて、pako先生はPS2ゲーム「シャイニング・フォース イクサ」などの原画を描かれていますね。
・登場人物
主人公の魔眼持ちで社長の伊庭いつき。ヒロインに新入社員でケルト魔術使いの穂波・高瀬・アンブラー。サブキャラクターに陰陽道でオカルト雑誌や占い誌でライター業を営む猫屋敷蓮、8歳の小学生だが巫女でもある神道の葛城みかん。騒霊現象<ポルターガイスト>を起こせる文字通りアストラル幽霊社員の黒羽まなみ。以上が魔法使い派遣会社「アストラル」陣営という形で。
純正魔法使い集団「ゲーティア」陣営として、穂波同様ヒロイン格ということでソロモン王の魔術使いアディリシア・レン・メイザース
今巻のメインは『アストラル』の面々と、先代社長であるいつきの父、伊庭司の弟子の錬金術師・ユーダイクス・トロイデと彼が精製したホムンクルスが主役及び敵役として登場します。
・シナリオ
魔法使い派遣会社“アストラル”。日々涙目で社長業の特訓を受けているいつきのところへ舞い込んできたのは、先代社長の遺産。ところがその相続に異を唱えたのは、錬金術師ユーダイクス。幾何学によって作りだした人工精霊を操り“アストラル”に魔術決闘を挑んできた。穂波のケルト魔術は届かず、猫屋敷の陰陽道は星の槍に貫かれ、神道の絶対結界も突破された。果たしていつきたちの運命は!?今宵―魔術の夜が血に染まる。(裏表紙より抜粋)
・感想
今巻は裏表紙にも書かれている通りの、先代社長が残した遺産を巡る戦い―――現アストラル社長の伊庭いつきと、司の弟子であった錬金術師ユーダイクス・トロイデの両名が先代社長伊庭司の残した遺産を巡って対立する、そのまま『遺産相続』の戦い、でしたね。
この巻は強力な敵を相手に、まずは魔術結社たるアストラルが敗北の苦味をかみ締めるところから始まる感じです。冒頭において前巻でその強力さを示したゲーティア首領・アディリシアがユーダイクスに敗北するところから始まり、その事実を知り魔術決闘を行う事を決めるいつき。だが強力なユーダイクスの放つ人工精霊にどんどん窮地に追い詰められていき…と、終始してユーダイクスの方が一枚上手、といった印象を受けますね。魔眼を持ついつきはしかしその危険さから力を使うことを周りに止められ、しかし周囲はユーダイクスにどんどん敗北し追い詰められていく…その切迫感は、ユーダイクスが伊庭司の弟子ということもあり、伊庭司の巨大さを誇張しているようにも感じました。
そして錬金術師ユーダイクスの秘密。ホムンクルスであるラピスの心境の変化。いつきの決意を聞いて思うところあるユーダイクスと、魔術決闘の行方と、戦いの裏で色々な状況やら感情やらが変異する事が多い話だったな、と思います。
結末も、いつきらしいというか万事を丸く納める方向で進み、最終的にはアディリシアがアストラルの関係者としての大義名分も手に入れており、ひとつの苦難を越えて全部が綺麗に収まったなぁ、と感じましたねー。