デモンパラサイト1

デモンパラサイト 魔獣の姫は、血を望む。

著者・北沢慶先生。挿絵・植田亮先生によるデーモンバトルアクション小説、ですかね。元ネタ…といいますか、原型になったTRPGが先に出ていまして、そのシステムに沿ってメイキングされたキャラクターや敵がその大元のTRPGシステムから脱却して始まった小説、という形でしょうか。
・登場人物
主人公で『炎の魔神クレイモア』の悪魔寄生体を体内に取り入れて悪魔化する事ができるようになった変身ヒーロー(或いはデビルマン)の日向葵。ヒロインで葵にクレイモアの悪魔寄生体を与えて自分の『守護者』とした『魔獣の母エキドナ』の悪魔寄生体を持つ八頭桜子。
この2人がメインで、他に葵の飼い犬のヤマトやクラスメートの成宮浩助、伊織茜、青葉紀子、同級生の牧野涼介、謎の美女の叶瑞姫などがサブキャラクター。
敵役にはリプレイを知っていたりゲームとしてデモンパラサイトを遊んだ事がある人にはお馴染みのカルトロップや、ヒドラオルトロスケルベロス、キマイラなどが登場します。
・シナリオ
主人公だが常人であった日向葵が、悪魔憑き研究所から脱走して彼を頼ってやってきた八頭桜子と出会い、彼女を追う悪魔憑きとの戦いに巻き込まれた結果、彼自身も悪魔憑きとして再生。葵は共生関係として傷を共有する間柄になった桜子を護り、本人の意思もあって生き残る為に桜子を狙って襲いくる悪魔憑きたちと戦うことになる。戦いの中で、桜子に移植されている悪魔寄生体が魔獣を生み出す力を持つ『魔獣の母エキドナ』であることや、同級生の牧野や謎の美女、叶瑞姫の正体を知ったりしながら、葵は自身の悪魔寄生体『炎の魔人クレイモア』に心まで屈しないように精神的にも戦いながら桜子を狙ってくるキマイラ、ヒドラオルトロスケルベロスなどを相手に戦う。その結末はどうなるのか? といったところで。
・感想
とても現代ファンタジーの入門書的な展開が多い作品でした。
突然襲われて死にかけ、ヒロインの手によって強大な力を得る主人公。しかし初めはその力に振り回され気味だったり、力に飲まれるような描写があったりと、自分の強大な力を上手く扱えない。そうする内に攫われるヒロイン。助ける為に影のあるライバルっぽい相手と共闘関係を結んで敵ボスに挑む。など、何処かで見たような展開のオンパレードです。
また、元ネタともいえるTRPGシステムの方の『デモンパラサイト』のシステムである<魔種吸引><最終能力>などが出てきたりして、小説なのにリプレイっぽいイメージが上がってきたりして、どうも浮ついているというか…どっちつかずなイメージでもありましたね。ラストシーンで最終能力が発動、というのはリプレイではお馴染みですが小説版では特に説明も無くいきなりラストシーンで使われていて、唐突な印象があったというか。

ですがそれらは、逆を言えばとても『王道的』な展開であるということ。

危険な状況に陥るヒロインを助けに来る主人公が、格好良く敵ボスを打ち倒す――― そういうものが好きな人は、初心に帰るつもりで一読するのも良いのではないかと思いました。