ドラゴンクライシス!3

ドラゴンクライシス! 愛しのオオカミ少女

著者・城崎火也先生。挿絵・亜方逸樹先生。遺物探索トラブルアクションラブコメディ、とでもいったところでしょうか。著者の他作品は「嘆きの館」、「鬼刻」シリーズ、などがありますね。
・登場人物
主人公で『遺物』の特殊能力を引き出す能力を持つレベル10遺物使いの如月竜司、レッドドラゴンの幼生体で竜司に懐いて一緒に居る金髪碧眼の少女ローズ、竜司のハトコでトラブルメーカーな女子大生で遺物探索家の七尾英理子。この三人がメインキャストというところでしょうか。今巻登場の新ヒロインとして人狼の力を持つ遺物専門の泥棒オッドアイが登場します。他のサブキャストとしてはローズを調べているドラゴン研究者の戸倉などですかね。
・シナリオ
世界遺物保護協会のパーティに出席する事になった竜司。竜司はそこで、一人の美少女と出会う…ラブコメ主人公的に。だがその少女と次に再会したのは、パーティを襲った襲撃者と対峙した時だった。襲撃者は遺物を狙う遺物泥棒のオッドアイだったが、少女がそのオッドアイであったのだ。英理子の持つ遺物を狙ってきたオッドアイだったが、竜司の行動とオッドアイの優しさから一度は失敗する。だが次に英理子の遺物を狙って竜司たちの家に忍び込んだ時、英理子の罠に掛かりオッドアイは捕らえられてしまう。が、遺物を使った罠が竜司とオッドアイに作用した結果、竜司とオッドアイは一晩繋がれたまま過ごす事に。ヤキモチを焼いたローズが騒ぎ、警戒を解かないオッドアイが騒ぎと大賑やかに。
だが魔手は既に迫っていた。オッドアイは『主』に言われて、遺物泥棒をしていたのだ。『主』の正体は誰か?オッドアイの凍てついた心を竜司は溶かせるのか――― と、いったところで。
・感想
この巻は利用された少女と利用する悪漢、その関係に竜司が入り少女を救おうとする物語、ですね。
人を信じる事を知らず、自分の『主』に心酔する少女が主の本音を知って絶望した時、竜司が助ける。というのが一連の流れになりますか。偏執的に遺物を集め、利用しようとする『主』。その目的に利用されるオッドアイ。利用する者される者。その関係が壊れる時、それぞれが起こす行動は―――、と。そんな人間心理が書かれています。
またそれとは別に、普通にラブコメディとして大騒ぎしているシーンも多々ありました。それらが重苦しいオッドアイと主との一連の行動にまた深みを出していましたね。明るさがあるから暗さが際立つ―――とでも言いますか。
今巻の主役はあくまでもオッドアイであり、竜司が手助け、ローズはその竜司のさらに手助け、という感じで英理子はトラブルメーカーとして事態をややこしく、となっていました。メインキャストが竜司以外少々活躍の場が少なかったですが、基本が「利用された少女と利用する悪漢」として見ればそれでも竜司の出番は多かったのだな、と。さすが主人公というところでラブコメディ主人公の面目躍如とオッドアイと関係していましたねー。