ゼロの使い魔12

ゼロの使い魔12 〜妖精達の休日〜

著者・ヤマグチノボル先生。挿絵・兎塚エイジ先生によるアニメ化もした人気シリーズの第12作目で、今巻は短編集ですね。
・登場人物
主人公で現代世界から異世界ハルケギニアに使い魔として召喚された平賀才人とを筆頭に、ヒロインで使い魔としてのサイトの主人に当たる貴族の令嬢ルイズ。サイトを慕うメイドの平民シエスタ。ハーフエルフでサイトたちに誘われひっそり隠れ住んでいた村から出てきてトリステイン魔法学院に入学したティファニア。サブキャラクターはサイトの悪友とも親友とも言える貴族だけどキザでバカなギーシュ、ギーシュやルイズの同級生マリコルヌ。タバサ、キュルケ、モンモランシーといったルイズの友人などですかね。
・シナリオ
今巻は短編集で、収録されているのは「プロローグ」というサイトとルイズの擦れ違いを書いた一話と、ティファニアがトリステイン魔法学院に編入してきてから自分がハーフエルフだと明かし、それで起こる騒動の顛末を書いた「白の国からの編入生」、悲しい男のサガを力説してくれてさらに実行している正直読んでて悲しくなった「水精霊騎士隊、突撃せよ」、シエスタが従姉妹のジェシカから渡された惚れ薬が混乱の大騒動を起こす「サイトの一日使用権」。以上4作ですね。
・感想
サイトが騎士の称号を得た後の、ある日の風景をそれぞれ切り取っていったという感じですね。
「プロローグ」ではサイトの勘違いとルイズの空回り、そしてサイト自身の鈍感さで擦れ違いまくる2人が書かれていました。それが妙に甘甘しい雰囲気ながらも結局そこに行くのか、というようなお約束を楽しませてくれるという感じでした。「白の国からの編入生」は、ハーフエルフであることを隠していたティファニアが一念発起して自分がハーフエルフであることを明かし、その上で友人を得ようと努力する姿が全4作中で一番多くページを使われてかかれていました。サイトが一番不遇であった話でもありますね。(笑。「水精霊騎士隊、突撃せよ」は若いんだから仕方無いな…と妙な生暖かさで眺めてしまう作品でした。それと同時にサイトやギーシュの年相応な姿などが見られましたね。「サイトの一日使用権」は、シエスタ大暴走と混乱が起きた後は百合の花満開、という感じでしょうか。普通によくこの混乱があっさり収まったものだ…と事態が収集した後の描写では思いましたね。
そんなこんなで、大きな事件というほどでもない事柄ながら起きた事態というものを、連作で書かれているという感じです。切った張ったはないのでデルフリンガーやガンダールヴなどの出番はまるで無く。その分、異世界ハルケギニアの日常風景が存分に楽しめる巻、というところですねー。