タクティカル・ジャッジメントSS4

タクティカル・ジャッジメントSS4 詐欺師の生まれた日

著者・師走トオル先生。挿絵・緋呂河トモ先生による痛快法廷弁護士物語の、短編集第4段ですね。シリーズ通算13冊目、著者の発刊だと通算15冊目の作品です。
・登場人物
短編集と言う事で色々と出たり出なかったりが多いですね。主人公の山鹿善行自体が出ない話があったりしますので。
・シナリオ
短編集と言う事で全8話が入っています。と言っても、先に掲載された話の続きとして書かれているものもあるので、厳密には少々違いますが。
内容は善行の弁護士事務所に顔を頻繁に出すとんでも中学生、皐月伊予の視点で彼女の通う学園内で起きた事件をクラス内での裁判と言う形で審理していく「はじめてのさいばん」シリーズがクラスでの揉め事でなくネット・ゲーム上での話で、善行の元で弁護士修習生として勉強中の一尺八寸も巻き込んでという亜種も含めて3つ。タイトルにもなっている若き日の善行の弁護風景が書かれる「詐欺師の生まれた日」が続と真相編の合わせて3つ。現在の善行が昔の知り合いに借りを立てにいい様に使われてしまう「過去のアヤマチ」。某ゲーム的展開で推理劇が繰り広げられる「オコサマタチの夜」。以上4シナリオ、といったところでしょうかね。
・感想
相変わらず著者のトリックと言うか、屁理屈作り話作りの妙には感心させられてしまいます。「はじめてのさいばん」シリーズでは中学生とは思えない捜査やら検事役やらでもはや中学の教室なんだか裁判所なんだかという錯覚を覚えてしまいますし、亜種のネット・ゲーム内での話は最後のオチにはこのお騒がせ者どもめ!と思わず叫んでしまいたくなるようなラストが待っていましたし、「詐欺師の生まれた日」シリーズでは法律の穴を突くという行為がとても納得いかないながらも正論ではあるということでなんともヤキモキさせられましたし、「過去のアヤマチ」では善行お得意の屁理屈強行がタクティカル・ジャッジメントシリーズの面白みを再確認させてもらいましたし、「オコサマタチの夜」ではそのお遊びに苦笑を禁じ得ずと、本当に色々な話で多色な楽しみ方をさせてもらいました。
そしてまた面白い所は、登場するサブキャラクターたち…被告だったり被害者だったりする人たちの名前でしょうね。よくもまあこれだけ当て字と言うかが思いつくものだ、と。そこだけでも十分面白いです。