刀語4

刀語 第四話 薄刀・針 (講談社BOX)

刀語 第四話 薄刀・針 (講談社BOX)

刀語 第四話「薄刀・針」

著者・西尾維新先生。挿絵・竹先生の剣劇活劇時代劇シリーズの第4巻。
剣を使わずに剣術家と戦う流派「虚刀流」の七代目当主・鑢七花が、伝説の鍛冶師四季崎記紀の打った完成形変体刀12本と呼ばれる刀を、幕府の為にという建前の元、自身の野望の為に集める奇策士・とがめに同行して蒐集するという話。
今巻では「薄刀・針」を、日本最強を襲名する剣士・錆白兵という男から蒐集する―――という話なのですが…あまりにも全てを語ってしまうので以下ネタバレにつき反転文字ってことでひとつ。

今巻は錆白兵との戦いとして、冒頭でもそっちに話を振って、しかも舞台は巌流島で―――ということで盛り上げに盛り上げておいて

今巻は七花の姉・鑢七実と真庭忍軍12頭領の一組『虫組』の3人との対決の巻でした
七花が旅立った後、一人不承島に残った姉・七実。彼女を一人残しては七花に対しての弱点になりかねないのではないかと思う読者側の懸念通り、真庭忍軍は「虚刀流」、ひいては「鑢七花」を危険視し初め、七花対策に家族である七実の誘拐を計画し、不承島へ3人の頭領が乗り込んでくる。
12頭領の中から「虫組」の3人が七実一人を誘拐する為に出向く。真庭忍軍に狙われた七実の行く末は―――。といった展開で。

ぶっちゃけて言うと、七実が圧勝してました(ぁ

虚刀流当主・鑢七花の姉・鑢七実。姉でありながら時期当主として前当主の六枝に選ばれなかった理由は、彼女の怪物地味た天才性ゆえ―――。
あらゆる技を、術を、生態すらも一見で「理解」し、「再現」さえでき、2度以上見たなら本家以上に使いこなしてみせる戦いにおける究極の天才児。それが鑢七実―――。その強さは、戦いを挑んだ形になる真庭忍軍12頭領の3人の方がむしろ見ていて哀れになるほどの圧倒的戦力差でした。
六枝から次期当主としては選ばれず、それゆえに虚刀流の技も伝授されなかった七実だが、彼女は七花が六枝から受ける修行を「見ていただけ」で、虚刀流をほぼ皆伝の域になるまでに極めていた。
そしてその戦いの中で、「刀剣を持ち込んではいけない」というルールだけが唯一定められていた不承島において、七実が一度も見たことが無かった「剣術」を見て、そしてその天才性ゆえに瞬時に極めてしまう。そして彼女は悟る。刀を使わない虚刀流でありながら刀が使えるようになってしまった、と―――そして七実は島を出る。遅々としてしか進まない七花たちの刀集めに参加するために。ただし、七花たちの旅に喝を入れる『本気の敵』として…!

と言う訳でこの巻は、「鑢七実と真庭忍軍虫組との戦いと、やがて最強の敵と見る鑢七実の不承島出奔までの話」ですね。


ここまで読まれた方なら、私が冒頭に書いていたこととの内容の相違がわかるかと思われますが…


読み終わってから、「おいおい錆白兵との戦い無いよ―――!?w」と、思わず笑い叫んでしまいましたよ。(笑


錆白兵―――第一巻で、かつてとがめと組んで「薄刀・針」を蒐集してみせた、この時日本最強を襲名していた剣士。口癖が「やけに拙者にときめいてもらうでござる!」という聞くからに美味しすぎるキャラクターに、その登場をまだかまだかと待っていた身として…良い意味であまりにも裏切られました(笑
ラスト、いきなり既に戦いは終わっており「薄刀・針」は蒐集済み。とがめと七花の会話で、辛うじて錆白兵が使った技の片鱗やその絶技が欠片だけ垣間見え、七花の勝ち方もさっぱりわからずどの奥義を使って勝ったか、というだけ。
七実と虫組の戦いも見応えがありましたが、「よそ見しているうちに大事なところを見逃した」みたいな気分でした…!(笑

そんな訳でネタバレなので反転文字ばっかりなんですが総評として。
この巻は「思惑と外れた展開を見せられても怒らない人向け」でしょうか(笑
あまりにもあまりにもな展開に、一瞬呆然としますがこの内容もそれはそれで面白いので良し、と思えるなら楽しめるかと。
でもやはり、お気に入りの連続ドラマの大事な一話を見逃したような気持ちが残りますね…!(笑