刀語1

刀語 第一話 絶刀・鉋 (講談社BOX)

刀語 第一話 絶刀・鉋 (講談社BOX)

刀語 第一話「絶刀・鉋」

講談社小説で人気作家である作者・西尾維新先生、挿絵・竹先生による毎月刊行全12冊予定の時代劇シリーズの第1巻。作者曰く、「黒歴史ならぬ嘘歴史」という通り、日本のようで日本じゃない?といった世界の話です。
主人公の鑢七花は、「虚刀流」という剣術流派の7代目当主で、姉・鑢七実と共に父・鑢六枝が受けた島流しの罪について来た結果、幼少の頃から不承島という島で暮らす姉弟。そんな彼の元に、ヒロインであり物語の始まりの鐘を告げる者、奇策士・とがめが現れた事から始まります。
奇策士とがめ。彼女が不承島を訪れた理由は「虚刀流」。かつて戦国の世の中にあって一人の刀鍛冶・四季崎記紀の手によって打たれ、作られた1000本の刀。何の因果か、それを多く持つ者ほど戦国の世で勝利し続けた結果、1つの伝説が出来上がる。曰く、「伝説の四季崎記紀の刀を多く持つ者が天下を治める」と。そして現幕府が先代将軍の頃から集め続け、遂に集まらなかった残り12本の完成形と呼ばれる刀―――四季崎記紀の変体刀完成形12本―――を、自身の野望の為に集め幕府に献上しようとするとがめは、その手段として虚刀流を使う事を決断したのである。
そんな目的を持って不承島に訪れたとがめは、そこで七花に出会う。だが不承島には、かつてとがめが雇い完成形変体刀のうちの一本の蒐集に協力して見事に「絶刀・鉋」を手にするも、とがめを裏切って鉋を手にしたまま逃走していた真庭忍軍12頭領のひとり、真庭蝙蝠がとがめが知る残りの変体刀のありかを聞き出すべくやってきていた。
絶刀・鉋争奪の行方。七花はとがめの依頼を受けるのか。真庭蝙蝠の恐るべき忍術とその体質。炸裂する虚刀流の技―――
ここに、新しい時代劇―――対戦格刀剣花絵巻、剣劇活劇時代劇が始まる―――。と、いったところが大体のストーリーで。
この巻では主人公とヒロインの出会いと、最初の強敵との戦いが書かれていますね。
矢鱈と凝ったギミックやミステリーなどが書かれているわけではなく、あくまで一人の剣術家と忍者との戦いを書いている、といった感じでとてもシンプルです。とはいえそこは西尾維新先生。「クビキリサイクル」などの既刊分別シリーズで書かれていたミステリチックさは無くとも、ちょっとした意表をつく展開や構成は顕在です。
七花の世間知らずの深さや、とがめの過去、真庭蝙蝠の驚きの体術など、西尾維新によるビックリ時代劇を、ちょっとした長さの短編―――中編?程度で楽しめる作品、といった感じですかね。
毎月少しづつ楽しむ作品。そう言った意味で、程好い長さだと思いますー。