迷宮キングダム リプレイ2

迷宮キングダムリプレイ2 災厄の王子

TRPGシステム・『迷宮キングダム』によるリプレイ小説の第2巻で、これで一応の完結巻ですね。
今巻はリジィ、わさび、テトリス、ユサンの第1巻でパーティを組んでいた面々に加えて、既存キャラをプレイヤー用の新キャラとして登用し、ユメミルドラゴンとルチャがPCとして登場して計6名パーティという大所帯になっていましたね。
ストーリーとしては前巻ラストで同盟国の「幻想無敵帝国」の皇帝を暗殺した濡れ衣を掛けられ、そこからの脱出劇からスタートしていますね。そこから自国である「暗黒不思議学園」に戻り、蘇った幻想無敵帝国の皇帝が訪問してきてひと悶着あり、ラストにはそれまでの節々で登場して混乱を助長していた相手と正面きってやりあう―――そんな流れですね。
このリプレイシリーズはキャラがよく立っていて、読んでいてプレイヤー間のキャラクターとしての掛け合いが面白いという点が大変印象的でしたね。良い意味でRPGしている、というか。
リジィの乙女心とテトリスの青臭さを王道的な展開ながらも上手くRPGしていて、それを従者としてユサンが影に日向に手助けし、ユメミルドラゴンは年長の余裕と哀愁でそれを見守る。リジィ大好きのルチャはそんな二人の間にタイミングよく割って入るも肝心なところでは出ない良いカンフル剤になっていて、わさびはストーリー上のキーを握る人物として物語りの神秘性をひとりで保ちつつ、日常会話で間抜けな会話を出して息抜き役もこなして。で、どのキャラも大活躍で。
また、戦略上の妙が見事で、GMがベテランGMであることをとても感じましたね。
普通のザコ戦闘でも一計を案じてプレイヤーたちを退屈させない気遣い。ボスに関しては強力ながらやりよう次第で戦える絶妙のバランス。ラストバトルではさらにそこに一計を加えて、戦略を考える必要性をプレイヤーたちに強く意識させ緊張感を煽り。本当に、見事なマスタリングだったと思います。
総評してこのリプレイは、とてもよく纏まった一冊で。「少年と少女の成長と、出会いの為の別れの物語」そんな感じでしょうか。
テトリスとリジィ、二人の出会いから始まったこの物語は2人の『道』が交錯し、また離れて一端の終わりを告げています。いつか来る再開の日の為に…と。そういった形で綺麗に終わっていて、とても読了感は清々しい物でしたね。