ドラゴンクライシス!2

ドラゴンクライシス! 依頼人は皇女さま

著者は城崎火也先生、挿絵は亜方逸樹先生。
ストーリーは主人公・如月竜司を中心にヒロイン・ローズやサブキャラクターたちが繰り広げるラブコメディ劇。ただし、ヒロインがレッドドラゴンの少女だったり、いわゆる裏世界と言うか、暗躍する組織などが特別な効果を発揮できる武具<遺物>などを巡って争いあう世界があったりと、少しばかりファンタジーが入った世界かと。インディ・ジョーンズのトンでも財宝が実際にある世界、と考えても良いかもしれません。
この巻では新キャラクターで炎を操るレッドドラゴンのローズの対極とも言える氷を操るホワイトドラゴンのマルガが登場しています。お嬢様然として気位が高いが人に歩み寄れる譲歩を見せられるマルガと、竜司好き好きで突っ走る子供な精神で嫉妬をストレートに出して譲らないローズという、対極的な女性像が書かれていましたね。
基本的にラブコメディで、今巻は海へ行く話だったのですがそこでの笑いとローズによる竜司への超ストレートな積極アプローチが書かれていて、それを楽しむ作りになっています。そしてまたバトルもありで。そんな中で、宗教的独善と言うか一神教ゆえの葛藤というか、そう言うものに悩む人物像というものを書いていたりと、意外と深いテーマを扱っていたりもします。結論はありがちなもので収まっていましたが。
総評して、この巻は「海と水着とお嬢様と牧師の苦悩」みたいなものかと。
ストレート過ぎるくらいストレートで子供っぽいが、純粋な愛情が眩しいローズの姿と、本心を隠して竜司に協力を依頼しているマルガの姿が対極的で印象深く。また、そんな純粋でそれゆえに宗教的対立が理解できないローズと、その姿に自身の『悪=滅』の信念を揺らがされて悩むジョージの姿もまた対極的で印象深かったです。
良い意味で単純で純粋でしがらみに縛られないローズの姿と、過去の因習に囚われた2人の新キャラクター。その対比図がとても上手く書かれていたと思います。