初恋マジカルブリッツ8

初恋マジカルブリッツ8 ないしょのトライアングルラブ!

著者、あすか正太先生。挿絵、天広直人先生による学園マジカル微妙にエロス小説かと。
リリスの欠片を持つ少年、藤井鼓太郎を中心に広がっていく人間関係。お人よしな鼓太郎を慕う者として祈梨、アルミナ、鈴蘭と、リリスの欠片を狙ってくる者としてユージェニー、ウルなどと、それぞれが敵になったり味方になったりしながらも、やがて鼓太郎という人間の元に集まっていく。そんな感じがあります。
この巻は前巻からの続き巻ですね。地獄から抜け出してしまったアルミナを慕うあまり、鼓太郎を討ち、地獄の現実質的支配者エスペランザにアルミナの安全を直訴するため立ち向かってくるアルミナの忠臣・ウルと、そんなウルの使い魔に操られた祈梨というどちらも倒せない2人を相手に鼓太郎、アルミナ、ユージェニーの3人が向かっていくが、その結末は…といったところと、その先となるアルミナが鼓太郎を連れて地獄に行くために、本音しか言えなくなる魔法薬を使って親切心から行動した結果のドタバタを挟み、アルミナを連れ戻しに来たエスペランザとその使い魔フェリックスを相手に鼓太郎とユージェニーが戦う、そして明かされる前世で起きた謎、リリスとアルミナとの関係の顛末。といったところが収録されているかと。
今回の巻では、終始ヒロインのひとりアルミナを巡って話が繰り広げられていたと思いますね。
鼓太郎―――リリスを慕うあまり地獄から抜け出したというアルミナの罪をアルミナの姉、エスペランザに許してもらうために鼓太郎を狙うウルは、アルミナへの行き過ぎた忠誠心からくる行動ですし、エスペランザが鼓太郎の前に来るのも、前世のアルミナ(現在のアルミナとは別のアルミナ)を失った理由が鼓太郎の前世―――リリスに関係するがゆえでしたし。合間にある本音を言ってしまう魔法薬によるドタバタも、アルミナがエスペランザに「リリスが地獄側に来る事を承諾するならリリスを許す」という言葉に、鼓太郎が照れて本音を言えないだけだとアルミナが思ったことから来る騒動でしたし。すべて、アルミナを中心に起きた騒動でしたからね。
まぁそんな騒動も、最後には丸く収まるどころか鼓太郎に都合が良過ぎる位の結末を迎える辺りはお約束だなぁ、といった感じでした。
エロス分は今回は少なめかと。騒動の末、命を失いかける祈梨を救う為の行為として鼓太郎と祈梨とアルミナを交えた三人での行為が書かれていましたが、そのくらいで。
今巻は「好き」に関する考え方などを色んな切り口で書いていると思います。鼓太郎と祈梨を初めとして鼓太郎とアルミナ、ユージェニー、鈴蘭、霧崎姫沙樹などの男女の愛は元より、アルミナとエスペランザの姉妹愛、鼓太郎と琴子の兄弟愛、鼓太郎と恋丸、祈梨と薬師寺ちとせ、順不順を問わずに書かれている愛情。そういうのが色んな状況で色んな形で書かれていましたね。
総評して、今巻はエロス小説分はかなり控えめで、ドタバタのコメディ小説としての側面と、アルミナの愛情の深さの理由と、誰かを守るという行為に対する鼓太郎なりの結論などが出る、といった辺りが書かれる「アルミナの愛情の理由と鼓太郎なりの決意の巻」といった感じかと。
人を愛すると言う事、その愛の深さから来るそれぞれの姿。そういったものを見られるかと、思います。