七人の武器屋4

七人の武器屋4 激突!武器屋VS武器屋!!

著者・大楽絢太先生、挿絵・今野隼史先生によるドタバタ武器屋経営小説のシリーズ第4段。今巻は前巻である第3作目の続きと見て良いかと。
大雪による家屋倒壊で潰れてしまった武器屋エクス・ガリバー。途方に暮れるマーガスたちの前に現れた状況打開策は、世界一の武器屋を決めると言う「天下一武器屋祭」での優勝による賞金1000万ドルクの獲得による再建!そのため、マーガスたちはフランの街を離れ、一路天下一武器屋祭の開催地、デルガドを目指す。途中、ドラゴン・プテラの群に襲われたりしながら無事、デルガドに到着した一行。果たしてマーガスたちは天下一武器屋祭で優勝し、無事にエクス・ガリバー再建なるか…?というところまでが前巻のあらすじで。今巻は、そんなこんなでデルガドに到着し天下一武器屋祭に参加するところからです。が、前巻ラストでマーガス、ジャン、ドノヴァンたちがイッコ、ノン、ミニィ、ケンジとに別れて行動したあと、マーガスが再度合流するまでの間に先行組のイッコたちには色々と問題が起きていたようで。これまで七人の武器屋を率先して引っ張ってきたイッコが精神的な問題から倒れ、ノンは夫であるデクの祖母にいびられ心身ともにボロボロ。ミニィは憧れの人を探して勝手に単独行動。歳若いケンジではそんな彼女たちを纏めきれるはずもなく、マーガスたちが合流した時には先行組は問題だらけの状態で。そこからのスタートになります。
始まってすぐ、マーガスによる怒涛のメンタル・ケアの開始。イッコの精神的問題を癒そうと奮闘したり、ノンとデクの祖母の問題にも関わったり、ミニィの勝手な行動に憤るケンジを宥めたりと、マーガスも必死です。そんな中で、今度はロト・セブンが送ってきた大会の案内状が前回大会のものだったことが判明。今回から予選などが組まれており、何の準備もしていなかったマーガスたちはもう散々な目に会います。その上、天下一武器屋祭りに参加しているのは、いずれも劣らぬ特色を持った武器屋ばかり。


前回優勝チームで、エクス・ガリバーの看板娘であるミニィの憧れの人のいる優勝候補筆頭『ダーク・セイバー』。
美形揃いで女性をターゲットに絞った販売戦略を繰り広げる『ローズ・ローズ』
店先で店主親子による武器を使った親子喧嘩が始まったりと荒っぽい気性揃いの『Dクラッシャーズ』


この他にも名前だけ出てきたりする強豪武器屋など、数多くのライバルがエクス・ガリバーの前に立ちはだかります。そんなチームの中のそれぞれのメンバーと、交流を深めるエクス・ガリバーの面々たち。時には対立し、時には協力し教えあいなどをしたりと、和気藹々ながらもシビアに天下一武器屋祭りが進んでいく様は一種オリンピックの様な崇高さが見えますね。
ちょっとこの巻内での出来事をピックアップして書いていくだけが、あっという間にこれだけの長さに。それほど、この巻は起きる出来事が多いです。それだけ詰め込み気味ながらも、気がつけば読みきってしまっていたりする辺り、大楽先生は読み手に勢いをつけて読ませるのが上手と言う事なのでしょうかね。内容が多い割に、あっという間に読み終わってしまいます。
そしてこの巻最大の見所は、ミニィの憧れの人でチーム『ダーク・セイバー』のリーダー、レイムーヴとドノヴァンのミニィを賭けた対立。勝った方の武器屋へ行きますと宣言したミニィ。エクス・ガリバーとダーク・セイバーの間で揺れるミニィを、ひたすら信じてレイムーヴとの対決に勝利し、守ろうとするドノヴァンの男気が炸裂しています。引っ込み思案だったドノヴァンの、必死の主張に彼の成長が見えて感動モノですね。また、新しい武器が出ていたり、デクとノンの夫婦仲が深まったり、イッコ復活の為にマーガスがイッコ母とイッコの間を取り持って必死こいたりと、見所が本当に多いです。
そしてラストはお決まり。ドラゴンとの対決。新しいビッグバン・ソードの登場や七人の武器屋のチームワーク発揮。そしてお約束の落ちがついてのラストと、この巻もノリと勢いで突っ走ってくれてましたね。
総評して、この第4巻は「怒涛の展開によるマーガス奮闘記」とでも言うべき巻でしょうか。
問題山積みからのマーガスの努力。そして仲間たちの協力と、ライバルとの対決。それらに諦めずに次々と立ち向かっていく姿は、『不屈』という言葉が七人の武器屋に似合うものとして彼らが成長したのだなぁ、と感じさせてくれていましたね。