十三番目のアリス3

十三番目のアリス〈3〉 (電撃文庫)

十三番目のアリス〈3〉 (電撃文庫)

十三番目のアリス

異能力を持った半サイボーグ的美少女たちによる、超能力バトル物シリーズ。その第3段で短編集です。
今巻はラブコメの短編3つとシリアスなバトル中心の話が1つで計4つの話が楽しめました。
ブコメ部分は、異能力を持つ美少女(ヒロイン、九条院アリス)の日常を象徴する友人の、宮田怜奈と桐山誠人の2人がそれぞれ出会ってから仲良くなるまでの「女子寮の眠り姫」、アリスが後輩や前述の怜奈、誠人、婚約者の三月と温泉に入りに行った先でドタバタとコメディを展開する「どきどき温泉パニック!」、酔ったアリスがその酔いの勢いも手伝って三月とやたらイチャイチャすることでアリスの内面を書いた「純情vボーイ・ミーツ・ガール」の計3つです。
どのラブコメも、妙にエロスを漂わせている部分がありながらも基本バカな事をしているだれそれを楽しむといった形式で、気楽に読めますね。そうしながらもアリスと三月を始めとする友人たちとの絆というものを再確認できたりも出来ますので、ただの無駄話というわけでもありませんし。
シリアス部分は、アリスのライバルとも言える存在として前巻で大きくクローズアップされていた「リリス・グラム」にスポットを当てた作品の「十二番目のリリス」です。「12番目」と呼ばれるようになる前のリリスと、そのリリスのたったひとりの友人であった「イリス・ボラッツ」が「9番目」となり、リリスと敵対するようになるまで。リリスの戦う理由が書かれている、といったところですかね。話としては「12番目」としてスフィアを埋め込まれるリリスと、成り立てのリリスを追い詰める「4番目」との戦いをメインにしながらやがて「9番目」となりリリスの事を忘れてしまうイリスとのあの、忘れえぬ、思い出の日々…みたいな構成で。全体的な印象としてはアリスのライバルとして、強大な存在として書かれていたリリスにも、過去があり、また弱い時もあった…。といった感覚で。
総評して、この巻はリリスの話が印象強いです。割り当てられているページも多く、「十二番目のリリス」の話をメインに据えつつも単独発刊としてはページ的に足りないのでラブコメ話を数点入れて1冊分の分量を確保した、といった印象で。
戦う女の子たち。彼女たちにはそれぞれまだ語られていなかった過去が…戦う理由があった。その一端を垣間見れる。そんな感じでしたねー。