円卓生徒会2

円卓生徒会〈2〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)

円卓生徒会〈2〉 (集英社スーパーダッシュ文庫)

円卓生徒会2

現代版「アーサー王伝説」の外伝とか異聞とか外典とでも言うべきシリーズの第2巻。
ぶっちゃけていうとアーサー王伝説のパロディな訳ですが。登場人物の名前とちょっとした立ち位置というか人間関係を転写しつつ、オリジナルっぽく話が進むと言うのがこのシリーズなんですかね。
今巻は現代世界がメインで。
亜砂が通う学校で次期の生徒会長が選出される事になる。なんだかんだで立候補者は亜砂の身辺警護も兼ねて色々手を使って転校してきたラーンスロットと、ヒロインの子猫遊鞠の2人。男性票で圧倒的なラーンスロットと女性票を集める鞠との選挙バトル勃発に、亜砂はまた振り回されて大変な目に…だが、異世界でも一大事が起きていた。亜砂をブリテンを治める『王の中の王』と認めないフランス他の諸国の派閥が結集して軍勢を率い、キャメロット城を包囲しようとしていた。だが、選挙に忙しい亜砂たちはそのことに気がつかない。キャメロット城に残っていたガーウェインとトリスタンはどうなるのか…?
果たしてラーンスロットと鞠との生徒会長選挙の行方は?亜砂たちは、キャメロット城を包囲しつつある連合軍にどう対処するのか?と、いったところですか。
ぶっちゃけて言うと、順当にラーンスロット、鞠の両方との仲を進めていく亜砂の姿が見えます。
ラーンスロットの秘密を知って受け入れ、その秘密ゆえに負っていた心の傷を癒し、さらにラーンスロットを狙う暴虐な王、プリンス・オメガを相手に大立ち回りをも演じてラーンスロットからの信頼をさらに深める亜砂。
ラーンスロットとの交流ゆえに鞠とも一時的に仲違いするが、追いかけに追いかけた末に最後には互いに互いを許し、また仲を進める鞠と亜砂。
新しい設定というか明かされた設定で、聖剣、聖槍、聖杯の存在が記されて話が広がりを見せそうな状況を作り今後の布石にもなっていますので、今後も数冊の展開を見込んでいると思えました。
今巻は現実世界に重きを置いた話。著者あとがきでも書かれていましたが、1巻で異世界、2巻で学園、ときたので次巻はまた異世界の話だそうで、一応交互に話が進んでいく形みたいですね。
総評して、今巻はラーンスロットに主軸を置きつつも鞠の話も忘れず進め、さらに聖剣等の重要そうな設定も出てきていて「鞠と亜砂の関係が深まりながらもラーンスロットも関わってきて、その上で設定を汲み上げて理解する巻」といった印象でしたね。
ラーンスロットが妙に出番が多い割に、一瞬で重要な決断を下してしまったりするところは少々急き過ぎを感じはしましたが、ダブルヒロインっぽく見せながらも基本として「亜砂が鞠を好き」、とハッキリ心情描写などで書いてありますので鞠の影を薄くしないように出番を増やした結果、ラーンスロットの話が少し薄れたのかな、と思えば仕方の無い事なのだろうとも思えましたしね。悪点として気になるほどでは無かったです。