DXリプレイトワイライト2 熱き夕陽の快男児

熱き夕陽の快男児

こちらはTRPGシステム「ダブルクロス2nd」のリプレイ。
今巻はヨーロッパ〜アラブ地方と、世界を股に駆けるかのごとく幅広い移動範囲を見せてくれます。
プレイ内容はボードゲーム的ストーリーの進め方が際立ち、TRPGのプレイスタイルが紙とペンを用意して、会話で進めていくタイプだけではないという事を思い出させてくれる構成です。
また、熱血的で熱いシナリオがアラブというステージと合っているのでしょうか。ぐいぐいと引き込まれます。
それに何と言ってもこの巻に限らず、GM・田中天はいわゆる「オイシイ」キャラクターで有名です。
プレイヤーをしたならばGMも周りのプレイヤーも爆笑に誘わずにいられず、GMをすれば特別に奇矯な、だが愛すべき敵キャラクターを出し、笑いと戦慄とやる気を出させてくれます。
そして今回はGM。特別に帰郷で、だが愛すべきキャラクターが2人、出ておりました。
その中でも特に輝いていたのはナチスSS士官として出て来たクレオパトラ・ダンディ。
筋骨隆々の格闘家タイプだが話し言葉はお姉ぇ言葉で、モンローウォークを披露したり、一般人を無力化する能力で「自分の魅力に心酔して無力化した」と演出したり、車を走って追いかけたり、大陸間弾道弾に乗って登場したかと思えば、怪我しそうな老女を助ける紳士ぶりを見せ、最後にプレイヤーたちの前に立ちふさがる時には「強くなければ生きていけないけど、優しくなければ生きる資格がないのよん?」と言い放ち、自分を犠牲にして目的を達成する覚悟を見せつけたりで、とにかく今巻限りの登場が惜しすぎるほどオイシイキャラクターでした。
後編で出てくるラスボスも、伝説上の偉人なのに畏敬の念はまったく覚えない、だけどその存在感は圧倒的でGMの口調もあり、すごいインパクト抜群でした。
さらっと出てくるサブキャラクターにも後世の有名人の名前を出したりして演出が小憎く、ニヤリとさせてくれる辺りはGMの演出の勝利と言えるでしょう。
ストーリー自体はよくあるもので、インディ・ジョーンズなんかで見られるような超古代の遺物を巡る争乱という感じですが、そこに登場する人物たちが魅力満載ですのでそれだけでもこの作品は買うに足る物であろうと思えます。
総評して、今巻はスケールの大きさもさることながら登場人物たち、特に敵側がおいしく、GMの発想力が凡人の斜め上を行き良い意味で意表をついた展開がとても楽しめました。