学校の階段4

学校の階段4 (ファミ通文庫)

学校の階段4 (ファミ通文庫)

学校の階段

2007年のGWに実写映画化が決定し、撮影中とのことのシリーズ第4段。
階段部とは、ぶっちゃけて言うと学校をレース場同然に見立て、階段を決められた階数上り下りしたり、決められた廊下をコース通りとして走り抜けたりする活動。それが『階段部』。
この作品シリーズは、そんな人への迷惑としか見てもらえないそれに自分たちの意義と意味を見出し、青春を書ける男女の群像劇ですね。
今回の巻は、完全に天才ラインメーカー・三枝宗司の巻です。
第1巻で階段部登場話、第2巻が階段部設立秘話、第3巻で天ヶ崎泉の過去と神庭美冬の関係でしたので、順当に階段部部員の掘り下げが進んでいる、と言う感じですね。
この巻では、当初に体育祭で各々が活躍して盛り上がったところで、三枝による「階段部退部願い」が提出され階段部にどでかい波紋が投げられることで話が進みます。『天才ラインメーカー』と呼ばれ、あらゆるデータを集めてその数値により最適解を導き出しその通りに走る事で最良の結果を求める三枝。彼の退部を止める為、階段部総員と三枝とは全面対決になります。
だが、次々に破れていく階段部のメンバー。
部長にして静かなる弾丸・九重ゆうこ、黒翼の天使・天ヶ崎泉、渾名こそ無いが気合の入った走りとフットワークが定評の井筒研、彼ら彼女らが次々と三枝の知略の前に破れ、残るは缶バッチこと主人公、神庭幸広と必殺Vターン・刈谷健吾の2人。
果たして階段部は三枝の退部を止められるのか?勝負の行方は…!?
総評して、この巻では三枝の過去と現在の考え。心の闇。それゆえの恐怖。三枝が考えている事、考えていた事、望み、願い。そういった全てが示されています。一人の子供が、子供なりに男として考え、決断しようとしたその結果は…
―――この巻は、不器用で臆病な男の、自己嫌悪ゆえの『決意』の話。