あんでっど☆ばにすた

あんでっど★ばにすた! (電撃文庫)

あんでっど★ばにすた! (電撃文庫)

あんでっど☆ばにすた

作者は『吸血鬼のおしごと―The Style of Vampires (電撃文庫)』シリーズや『サンダーガール! (電撃文庫)』シリーズなどを出した鈴木鈴先生。
これまでのシリーズは挿絵が二度とも同じ人だったのですが、今回は違いましたので最初は同じ作者先生だと気がつきませんでした。(^^;
この作品世界は『五法』という5つに種別が分類される特殊能力があり、資質を持つ者だけがその5つの能力のどれかを使えると言う世界で、主人公である荻原真尋とヒロインである御船冬子がそれぞれ『受法』と『行法』とを使い何かしらの問題を解決する…というものが基本となるかと。
今巻でのストーリーは、『幼馴染みである荻原真尋と御船冬子は五法(ヴァニティ)という特殊な能力を行使する“五法相(ヴァニスタ)”と呼ばれる存在である。そんな彼らの元に、五法相の集団“諮問機関(カウンシル)”の使者、セフィラがやってくる。五法に関わる窃盗事件の捜査を依頼された真尋は、セフィラの熱意に押される形でそれを引き受けることになった。 セフィラは事件の犯人が、五法によって造り出された不浄な存在“不存体(アンデッド)”であると強硬に主張する。そして捜査の過程で、彼らはひとりの少女に出会った。幼い外見と老練な物腰を併せ持つその少女、リシュエル・ウィキシントンは、ある重大な秘密を抱えていた……。』
と、いうもの。あ、上記文は電撃文庫HPの作品紹介から転載させてもらいました。
紹介文からもわかるように、この巻はいわゆるアンデッドである『不在体』を追いかけるという話。ですが、セフィラにも秘密や悲しい事情があり、その事から真尋に強く惹かれます。そしてその為に最後にまたひと悶着あって…と、ストーリーは二転三転します。
ヒロインである御船冬子も、最初は自分たちと同じ五法使いであるセフィラに真尋を取られるのではないかとあたふたとし、真尋がセフィラに協力する事を決めた後も素直になれずに使用人に真尋たちの後を尾行させたりと暴走気味で、読んでいて生暖かい視線を送りたくなってしまうような『恋する女性』として書かれていました。暴走しやすく凶暴ですが。(笑
総評して、色んな意味で素直になれない女性陣の葛藤と行動、そういったものがこの作品では楽しめるのではないでしょうか。バトル要素も少しありますが、基本的に主人公である真尋はそんは能力がありませんので、あくまでスパイス程度かと。なのでそう悪くは無いのではないでしょうかね。
ただ、最後の結末については少しばかり難がある答えが出たような気もします。真尋やリシュエルが選んだセフィラの事情に対する一時の答えが正しいのかどうか…それは、結構考えてしまう物かと…