文学少女と死にたがりの道化

文学少女と死にたがりの道化

いろいろな媒体で、さらっと人気があるようなことを書かれていたので購入。はっきり言って当たりでした。かなり面白かったです。
主人公は、かつて天才美少女作家として名を馳せたPN「井上ミウ」の正体、平凡な生活を求める高校2年生の男子、井上心葉。そしてそんな彼を引っ張り込んだ文芸部の部長、"文学少女"と自らを呼称し、本を愛し、本を文字通り"食べる"高校3年生の天野遠子先輩。この2人を主軸にストーリーは展開されていきます。
今巻は、遠子先輩が文芸部の活動として中庭に設置した恋の相談ポストを見た1年の女子生徒の竹田千愛が、文芸部に相談を持ってくることから始まります。
弓道部にいる片岡愁二という先輩に恋文を渡したいと考えた彼女が、文芸部にその手伝いをお願いしに来る。遠子先輩は、その恋文の代筆を心葉に任命し、それを受けて数日間、心葉は何通かの代筆恋文を書いて彼女に渡す。そうする内に少し気になった心葉は、弓道部に片岡愁二という先輩がどんな先輩なのかを見に行く。だが、そこには片岡愁二なんて人はいなくて…
総評して、この作品は、太宰治のある作品がメインストーリーに深く食い込んでいます。その作品が全編に渡って登場人物たちに影響を与え、それが事件を引き起こすと言ってもいいでしょう。そんな、実在にあるものが起因していると言うのが、この作品が人気を博している理由でもあるのではないでしょうか。完全フィクションではなく一度は目にしたことがある、そうでなくても名前くらいは知っている。それが起因しての物語に、半フィクションとでもいうのか現実味を読者は感じるのでしょうかね。