黎明の戦女神3

黎明の戦女神3

前述の通り完読。完読完読と繰り返してきたが読了のほうがこの場合合ってるのかね。完読って自分造語っぽいし…
さておき、黎明の戦女神3。
黎明の戦女神シリーズは、舞台は現代文明が『混世魔』と呼ばれる存在によって崩壊して戦国時代並に文化レベルが衰退し、そんな中でかろうじて残っていた現代技術を用いながらの人や馬、剣や刀、槍を使った合戦を繰り広げている世界。そんな中で、力無い者が生きていける世界を作ろうとするヒロイン『藤沢 梓』が率いる『繚乱の軍団』が、第1巻では群雄割拠する中で関東地方を治めるまでを書き、第2巻以降で西日本を治めんとする『天命の軍団』、東北地方を治める『氷雪の軍団』と呼ばれる軍勢との合戦模様を描いた作品。主人公は、そんな藤沢梓を影から支える従者『峠 昌樹』。かつて自暴自棄から『混世魔』として目覚め、世界崩壊に力を貸したが、世界崩壊の渦中で自分のした事を悔やみ6年後の作品中で梓の理想を手助けをすることを決意する。だが6年後の昌樹は、自由に混世魔の力を使えなくなっていた。使えるのは、相手が混世魔の時だけだった…。と、そんな設定で。いわゆる藤沢梓が戦っているのを、影から峠昌樹が手助けしている状態ですね。
昌樹は自分が混世魔であることを知られるのを恐れ、誰にも知らせていませんので、相手として混世魔が出てきた時には軍団から離れて密かに混世魔の前に姿をあらわし、決着をつけ、また何事も無かったかのように軍団に戻るー、となっています。何だかこう書いているとウルトラマンみたいだなぁと思えてきました。(笑
侵略者がきた!→防衛チーム出動!→侵略者は怪獣を出してきたぞ!?→正体ウルトラマンの○○防衛隊員「防衛チームの大ピンチだ!ようし、俺が!」→ウルトラマン登場!→怪獣倒した!→侵略者も防衛チームが倒した!→同僚防衛隊員「あれ?○○がいないぞ?」→○○防衛隊員「おーい!」同僚防衛隊員「あ、あいつ生きてたのか!よかったよかった!」→エンドテーマへ…と。って書いてる内にますますそんな風に感じてきた…(笑 まぁ、そんな感じで話は進みます。

そんなこの黎明の戦女神シリーズ。基本が文明崩壊後の世界でその中での群雄割拠を書いているだけに、戦闘シーンが多く。大まかに分けて二種類の戦闘シーンがあります。ひとつはコンピューター制御が利かなくなりながらも稼動可能な戦車や機関砲、単車、乗用車を使い、それらや馬やらに乗りながら剣、槍、刀、時には鎚や銃を使った現代版戦国合戦図を描く戦国合戦バトル。もうひとつは合戦相手に組する混世魔と主人公である峠昌樹が混世魔による超常能力を使った次元を裂いたり地水火風を操ったりする力をぶつけたりぶつけられたりする超常バトルです。そういった戦いを書きながら、文明崩壊後の世界を生きる人たちというのを描写しています。
この戦国合戦風というのがなかなかやっかいで、戦車とか対空機関砲とか複葉機とかが出てくるのですが、この程度ならまだ常識の範囲内かと思われますが、これにさらに細かく戦車名称や機関砲の名前などが出てきます。具体例をあげると、戦場の説明に「展開した戦車のうちT−80が3両に90式戦車が4両〜」とか書かれていたりします。軍事知識が無い人には戦車とは「キャタピラのついた頑丈な鉄の箱。大砲が撃てる。」くらいしか認識が無かったりしますし、かなり敷居の高いものと言えるのではないでしょうか…

さて、そんな黎明の女神シリーズ。3巻では、これまで勝ちつづけていた藤沢梓が初めての明確な敗北をします。そして、そこで1、2巻でも出ていた味方武将の1人も戦死します。なかなか鬱な展開と言うか、初めての大敗北に厳しい状況に陥る繚乱の軍団。果たしてどうなるのか…といったところで続いています。中高生向けライトノベルであるところの電撃文庫シリーズで、こういった厳しい内容の話は、受け入れられにくいのでしょうかね。続く第4巻で、シリーズ完結となるようです。元からこういう構想だったのか、不人気に打ち切りなのか…少し気になるところです(^^;