アスカ 麻雀餓狼伝

アスカ ―麻雀餓狼伝― (スーパーダッシュ文庫)

アスカ　麻雀餓狼伝

著者・吉村夜先生。挿絵・ＢＵＮＢＵＮ先生。著者の吉村先生は富士見ファンタジア文庫で「ＲＰＧＷ（・∀・）ＲＬＤ」という著作を、挿絵のＢＵＮＢＵＮ先生はＧＡ文庫で「ゾアハンター」シリーズや「神曲奏界ポリフォニカ」の黒シリーズの挿絵などを描かれていますね。
・シナリオ
狼になる。
自らの牙で、爪で全てを勝ち取れ！
本格麻雀小説登場!!
憧れだった祖父の背中を追い、少年・アスカは麻雀の世界へ飛び込んだ。そこに今への漠然とした不安を覆す、本当の生き方があると信じて。そして、一人の美女との出会いが、少年を博打の更なる深みへと誘う。想像もしなかったような一世一代の大勝負。全てをつぎ込んだ戦いの結果は…!?
自分に賭けてくれた少女のためにも…狼は戦う！ （スーパーダッシュ文庫商品紹介ＨＰより抜粋。）
・感想
これは高校生の少年が賭博麻雀に嵌っていき、博徒としての道を歩んでいくそのきっかけとなった出来事を書いた作品でした。
通し、積み込み、すり替えなどの裏芸と呼ばれるイカサマを、「ばれなければ問題ない」として応酬しあい、登場人物たちがその一瞬一瞬を賭けて相手の裏を読み、思惑を読み、手配を読み、勝利を目指す―――そんな、緊張感溢れる麻雀の様子が楽しめました。
麻雀部分については、やはり麻雀が扱われているだけあって若干の基礎知識を要しますが、ゲームで点数計算などをしてくれる麻雀が打てるなら特に問題なく読めるかと。かく言う私も麻雀は点数計算が出来ず、役についても特定の役を知っていても別の役だと知らない（言われてそういえばそんなのあったと理解する）程度ですが、十分に内容を理解して読めましたので、
内容については高校生・御仁原アスカが退屈な高校生活に嫌気が差して、祖父から聞いた武勇伝と教わった麻雀の腕で「自分も祖父のような生き方をする！」と一念発起して賭博麻雀に手を出し、その中で新しく知り合ったシノブやユキ、岩さんといった面々とのやりとりの中で麻雀打ちとして、博徒として成長していく…そんなものです。
総じてこの作品は麻雀賭博小説であり、読む人を選ぶかと思います。でもその内容に、アスカの行き方、麻雀の打っている時の緊張感、博徒たちの刹那的で狡猾な生き様にシビれる物を感じられると思います。
退屈な毎日にファンタジーなどとは違った、現実味のある刺激が欲しい…そう思うなら、この作品に手を出してみるのも良いのでは。そう思いましたね。