ウルトラマンメビウス

ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント

ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント

ウルトラマンメビウス アンデレス・ホリゾン

著者・朱川湊人先生。怪獣デザイン・西澤安施先生。メカニックデザイン・PLEX(新田康弘)先生。著者の朱川先生はTVシリーズでも脚本家で数作担当されている、ウルトラマンメビウスにとても関係のある先生です。
・感想
内容はTV版で朱川先生が脚本を担当された話「ひとりの楽園」「無敵のママ」「怪獣使いの遺産」と、オリジナル話となる「魔杖の警告」「幸福の王子」に、オリジナルキャラクターであるハルザキ・カナタがCREW GUYSの研修隊員として任務の中でCREW GUYSのメンバーやウルトラマンメビウス=ヒビノミライと接したり、異星人や怪獣と戦う中で色々なことを感じる様子を描いたものです。
研修隊員として、また読者視点の中心ともなるハルザキ・カナタは、最初は異星人地球全排斥を語ったりCREW GUYSのメンバー同士で仲の良いアットホームな関係に馴染めない、一匹狼振りを見せたりします。ですが作中で半年が経過することで内面が変わっていきます。その変わっていく様子がとても丁寧に描かれていて、読んでいて彼の成長が面白くなりました。この作品はハルザキ・カナタという青年の成長物語でもあると感じました。
登場する怪獣や宇宙人は、オリジナルもあればTV版でも登場した怪獣が登場したりで見応えがあります。「魔杖の警告」「幸福の王子」ではオリジナル怪獣/異星人として単純に「魔杖」と呼称される飛来物や凶悪な面構えだがある目的の為に命をかけた「ユーゼアル」など、個性的な怪獣/異星人が登場します。またTV版で放送された話の収録分もブラッシュ・アップされていて、カナタの視点になることでより細かいところまで突っ込んで解説されていたりしています。怪獣も、ウルトラセブンに登場した宇宙恐竜ナースの変異種的なスタンスの「ナーガ」、白い体色のギラドラス「アルビノ・ギラドラス」などが登場する一方でTV通りの「ゾアムルチ」「ソリチュア」「サーペント星人」が登場するなど、新旧のウルトラマンファンが共にニヤリとできるチョイスでした。
ウルトラマン物の小説としてはウルトラマンという存在よりも「研修隊員ハルザキ・カナタの成長」や「地球人と異星人の交流」といった精神的な交流に関する面が強く押し出されているので、アクション性やウルトラマンVS怪獣の爽快なバトルを期待すると残念に思うかもしれません。でも、前述した精神的な交流の部分はとても丁寧でハイクオリティなので、読んで良かったと思える作品でした。