第12話 「復讐のV/怨念獣」

Vを冠する物語の後編です。
ていうかまず、本編とは違いますがOPが劇場版仕様になっていて色々ワクテカが止まりません。特にディケイド最終章はもう燃え死させるつもりかと!タックルとか!ゾル大佐とか!浮上するクライシス帝国前線基地とか!ハチ女とか!ドラスとか!夢の競演だらけじゃないですか!オリジナルキャストではないとはいえ、それだけが一堂に会するなど…ディケイドやってくれて本当に良かった、と心の底から思いました…!
さて劇場版は公開されてからまた、ということで今回の話の感想をば。

前回、謎のドーパントが車を操り次々と街のギャングを殺害していくのを車を破壊して止めた翔太郎。最後に残ったギャング―――黒須を助けられたか、と思ったのも束の間、車を操っていた青年は意識を失って倒れているが、ガイアメモリが体内から排出されない。車を操っていたのはドーパント本体ではなかったのだ。「どういうことだ?」と驚く翔太郎たち。その前に謎の影が姿を見せる。それは正体不明のドーパント本人だった。正体はいったい―――?というところで続いていた前回。今回はそのまさに続きからです。
今回は引き続き翔太郎メインの話。翔太郎は自分の直感に従ってバイラスドーパントを探し続け、事件の真相に至る、という形になっています。
バイラスドーパントの正体は意外とアッサリ割れて、事故にあった姉―――山村幸さんだとわかるまでは順当でした。今回はそこから先が凝っていて、ドーパントの背景に迫る、的な内容が面白かったです。犯人を特定して、その後に動機などを固めていく、という流れがこれまでの展開とは一風違う感じでした。
しかしフィリップは…というか「地球の本棚」便利ですね。なんでもありか、という気がします。意識不明の患者の意識とコンタクトして情報を引き出すとか…一歩間違えたらストーリーブレイカーになりそうで少し怖くもあります。なんでも「地球の本棚」で解決しようとはしませんように、と祈らざるを得ない…。
バトルシーン。今回のバイラスドーパントはあまり強くない、という設定だったためか、バトルシーンは短いバトルが何度か繰り返される、という展開でしたね。でもその中に込められたメッセージ性はかなり活目ものです。救いたいけど救えない、救えないなら倒すしかない…でも倒さず救いたい…そんな翔太郎の葛藤と決断は、目を見張りました。普段のような動き回るアクション性の高いバトルではなく、防御専念で説得をするもフィリップの知識でももう駄目と言われ、覚悟を決めた後の淡々とした様子は別な意味で手に汗を握ります。そんなシーンがあったからこそ、その後の変身を解いて「おい…お前の罪を数えろ。」(パンチ)「お前を殴ったのは俺の拳じゃない。幸さんの…心だ」は、グっときます。
霧彦さんは今回とても滑稽なキャラになってしまっていましたね。自信満々に名誉挽回のチャンスとバイラスのガイアメモリのことを若菜に話したりしておきながら、蓋を開けてみれば睨んだガイアメモリの変容は冴子には既に既知の現象でまったく相手にされず。動静を報告している時の温度差が哀れでした。これでまた霧彦さんの何かのフラグが立った感じですね。しかしこれだけ失態が続いていては、最終的に霧彦さんは離縁を言い渡されて失意の内に冴子辺りに粛清されてしまうんじゃないでしょうか…。
今回のストーリーはかなりハードボイルドです。すべてがハッピーエンド、というわけにはいかない。でもそれが物語に深みを出している…みたいな。ドーパントの正体もやはりここに落ち着いたか、という予想通りの部分もありましたが、湯島があれだけ話に食い込んでくるとは思いませんでした。てっきりちょい役で、最後のエピローグにまた出てくるくらいだろう、と思っていたら…良い意味で意表を突かれました。しかし今回の話は悪役が生々しいですね。無軌道な悪党とか、エゴイストな詐欺師とか。それだけに翔太郎が怒りを込めて湯島を殴り飛ばしたときの一連のくだりはスカっとしましたが。良いカタルシスでした…。

次回は第13話「レディオでQ/狙われたプリンセス」。ついに園咲家次女こと園咲若菜ことクレイドールドーパントとWが邂逅するようで、これで園咲家全員とWは因縁を持つことになるわけですね。この邂逅が今後にどういう要素を生み出してくるのか…今後の展開に関してという意味でも重要な意味を持つ話になりそうですね!