アクセル・ワールド3

アクセル・ワールド〈3〉夕闇の略奪者 (電撃文庫)

アクセル・ワールド〈3〉夕闇の略奪者 (電撃文庫)

アクセル・ワールド3 夕闇の略奪者

著者・川原礫先生。挿絵・HIMA先生。川原先生は個人サイトで公開していたネット小説でアクセス数650万PVをオーバーし、第15回電撃小説大賞で<大賞>を受賞しリアルでも作家としてデビューされたネット、リアル両面で活躍中の先生です。挿絵のHIMA先生は、雑誌『電撃萌王』に寄稿されていた作品を見た文庫編集者がオファーして本作シリーズで初のイラスト担当となったという経緯を持たれています
・シナリオ
人気も超絶加速中!! 第15回電撃小説大賞<大賞>受賞作、怒濤の第3弾登場! 「ゲームオーバーです、有田先輩……いえ、シルバー・クロウ」 学内一の美少女・黒雪姫との出会いによって人生が一変した少年、ハルユキ。デブでいじめられっ子だった彼も、立派な≪騎士≫として成長していた。季節は春。二年生となったハルユキたちの前に、奇妙な新入生が現れる。≪ブレイン・バースト≫のマッチングリストに現れず、しかし日常では≪ブレイン・バースト≫を巧みに使いこなす謎の一年生。 黒雪姫が修学旅行で不在の中、≪ダスク・テイカー≫と呼ばれる歪なデュエル・アバターを出現させた一年生は、圧倒的な力でハルユキから『大切なもの』を奪っていく。再び中学内格差(スクールカースト)最底辺に堕ちたハルユキ。絶体絶命の彼がその時とった行動とは……!!(電撃文庫HPより抜粋。)
・感想
第3巻にして今巻では初めての続編もの、ということになります。1つの事件がこの巻内では終息せず、次巻へと引き継がれています。
話の内容としては、トップ(黒雪姫/ブラック・ロータス)が修学旅行で学園不在の間に、『ネガ・ネビュラス』に忍び寄る黒い影―――という感じです。ハルユキが狙われ、修学旅行中の黒雪姫を心配させまいと幼馴染三人―――ハルユキ、チユリ、タクムの三人が謎のバーストリンカーを相手に奮闘する、という内容。敵役が罠や謀略で仕掛けてくるタイプのため、日常での策略の張り合い、それをどう掻い潜って相手の裏をかくか、という流れになっていました。
今巻の見所はやはりハルユキの挫折と、自分を見直してのパワーアップという成長部分でしょうね。無論それ以外にも見るところは多いですが、個人的にはハルユキがパワーアップする布石が色々張り巡らされていたところにやはり注目が行きました。ハルユキは師匠を得てブレイン・バースト内で修行したり、さらに新アイテムをゲットしたりと、偶然レアアビリティを手にして力を得たハルユキが、今度は地道な努力で別の強さを得ていく過程が主人公してるなぁ、と思いました。またアッシュ・ローラーが何気に「お前を倒すのは俺だから俺以外の誰にも倒されるんじゃねぇぞ!」なライバルキャラとしての立場を確立してたり、周りも充実していく様子も面白いです。
総じると、この巻はやはり色々と今後に繋がりそうな新設定や、新キャラクターが出てくる内容でした。チユリの≪ブレイン・バースト≫入手によるアバターの作成、≪ブレイン・バースト≫の隠しシステムの説明、黒雪姫―――ブラック・ロータスのかつての友で、ハルユキを導く師ともいえる存在となる<スカイ・レイカー>、ハルユキが手にする強化外装。新しい敵と、その敵が所属するらしき一団。様々な新登場が目白押しで、情報飽和な面さえあるほどでした。ですがそれだけ世界が広がっていて、特に現在存在するブレイン・バースト以外の加速能力を得るアプリケーションの存在と、それを扱う新しい敵が登場するなど、今後がさらに楽しみになる期待が溢れてくる展開でした。
ですが戦いの最中で第3巻は終わっているので、この結末は早く知りたいですね。来年2月頃予定の発刊が待ちきれません。チユリの行為の真意は、ハルユキは己の力を取り戻せるのか、黒雪姫は今後の戦いにどう関わってくるのか、タクムの男気溢れる姿の再登場はいつか、など次巻が待ち遠し過ぎです。