カンピオーネ!4

カンピオーネ! 4 英雄と王 (スーパーダッシュ文庫)

カンピオーネ! 4 英雄と王 (スーパーダッシュ文庫)

カンピオーネ!4 英雄と王

著者・丈月城先生。挿絵・シコルスキー先生。シコルスキー先生は電撃文庫で『十三番目のアリス』シリーズ、GA文庫で『パラレルまりなーず』などの挿絵を描かれていますね。
・登場人物
主人公の<神殺し>にして神を殺した事で『王<カンピオーネ>』として神の権能を行使できるようになったが、性格は普通の高校生の草薙護堂。秘密結社『赤銅黒十字』の魔術師で護堂の愛人を自称する、自信に溢れた大騎士、エリカ・ブランデッリ。霊視の術に長けた媛巫女で護堂と同じ学校に通う護堂の妹と知り合いの、真面目で道理から外れたことが嫌いな万理谷祐理。サブキャラクターはエリカ付きの世話人、アリアンナ・ハヤマ・アリアルディ。護堂の祖父、一朗と知人であるサルデーニャ島に住む魔女ルクレチア・ゾラ。
今巻登場は、東方より来る英雄、鋼の英雄であり怪異を討ち乙女を救う英雄譚の主役である英雄ペルセウス
そしてこれまで名前は出れども登場はしなかった、自由奔放な性格をしている遊び人風のもう1人のカンピオーネ、サルバトーレ・ドニ。
また初登場ではなく2巻で登場していて再登場となる、騎士道を重んじる『青銅黒十字』の騎士で、さらに魔術師で神の声を聞く巫女でもあるリリアナ・クラニチャールも登場します。
・シナリオ
アテナ再臨! 絶好調新神話第4弾!!
若き魔王・回護堂は心労を重ねていた。周囲をとりまく少女たちの圧力に耐えきれなくなった護堂はついに逃亡を図る。
だが、その前に現れたのは因縁の戦女神・アテナ。魔王と女神の奇妙な冒険がいま始まる!?(7&YHPより抜粋。)
・感想
第4巻は再び現在に時間を戻し、第3巻のラスト、夏休みの予定をエリカに握られ潰されることを嫌った護堂がサルデーニャ島に逃げてきたがやはり捕まってしまった―――というところから大体続きます。エリカにはやたらと2人きりになるように仕向けられ、それを回避していても祐理には小言を言われ、さらに普段もルクレチアやアンナといった面々も含めた女性ばかり4人に囲まれて護堂はすっかり疲労困憊してしまう。そこで護堂はエリカたちの元からの脱出を図るが、脱出しようとした矢先に出会ったのはかつて戦った『まつろわぬ神』として地上を徘徊していた女神アテナ。アテナは自分とは違う『まつろわぬ神』の到来を予感しており、自分を一度は退けた護堂を修行と称して戦いの場に連れ出すために拉致する。アテナに連れられてイタリアはナポリを訪れる事になる。時同じくして、リリアナはイタリアが誇る神殺しの騎士、サルバトーレ・ドニの復帰を聞き、彼にナポリの地に出現した神具「ヘライオン」に関する処遇としてアドバイスを得ようとするが、ドニはヘライオンを破壊してしまう。それをきっかけにアテナの予感が的中し、新たな「まつろわぬ神」ペルセウスが光臨。アテナの命令と、ペルセウスを放置できない護堂はリリアナの協力を得てペルセウスと戦うことになるが、その結末は―――?と、いうところ。
今巻はエリカや祐理といったこれまで活躍してきたヒロイン勢はお休みムード。その代わりに再登場したリリアナが、護堂へのサポートに「まつろわぬ神」とのバトルにラブコメ&お色気担当にと、大活躍です。今巻ではこれまでエリカがしていた護堂のサポートをリリアナが代わり、さらに祐理の立場―――巫女としての活躍の場もリリアナがしてと、彼女のスペックの高さが証明される話でもありましたね。エリカと祐理がしていた行為を、リリアナは実質1人で為しているわけで。「騎士にして魔術師にして巫女」というエリカと祐理を足して割ったような設定は伊達ではありませんでした。さらに護堂と絡むところではエリカ並にエろス…!巫女という点で神との親和性でエリカを上回り、騎士という点で戦闘力という点で祐理を上回る。魔術師としては神に対抗する事も出来る切り札を有してやはりエリカの『ゴルゴダの言霊』や祐理の『霊視』と同位レベル、加えて料理上手で家事全般も平均レベル………さらに騎士として護堂に忠誠を捧げた。なのに内心では運命的な恋に憧れる乙女でもある………。もはや彼女は『パーフェクトナイト』とでも称号を得ても良いのではないでしょうか。弱点という弱点が見当たりません。強いて言えばその万能さから突出した魅せ所が無いというくらいですか。
今回の敵であるペルセウスは、ある理由によりウルスラグナの権能に対して絶対的な優位性を持っています。その優位性を護堂がどうやって破るのか、という所や彼の来歴を知るに連れて優位性も納得でき、ペルセウスという存在とウルスラグナという存在の意外な共通点が見えて面白かったですね。