アクセル・ワールド2

アクセル・ワールド〈2〉紅の暴風姫 (電撃文庫)

アクセル・ワールド〈2〉紅の暴風姫 (電撃文庫)

アクセル・ワールド2 紅の暴風姫

著者・川原礫先生。挿絵・HIMA先生。川原先生は個人サイトで公開していたネット小説でアクセス数650万PVをオーバーし、第15回電撃小説大賞で<大賞>を受賞しリアルでも作家としてデビューされたネット、リアル両面で活躍中の先生です。挿絵のHIMA先生は、雑誌『電撃萌王』に寄稿されていた作品を見た文庫編集者がオファーして本作シリーズで初のイラスト担当となったという経緯を持たれています。
・登場人物
主人公で現実世界ではちょっと太ましい体型と長年の経験で染み付いたネガティブ思考が悩み所の中学生、VRゲームである『加速世界<ブレイン・バースト>』でのデュエルアバターは、現在唯一の特殊能力『飛行アビリティ』を所持する<シルバー・クロウ>である有田春雪。
ヒロインは、現実世界では春雪と同じ中学で生徒会副会長を務め、『ブレイン・バースト』ではデュエルアバターは『純色の七王』の一角で、手足が剣で出来た超接近戦型の<ブラック・ロータス>。『黒の王』と呼ばれていたがある出来事から他の『王』たちに狙われる立場となり、春雪との出会いを経てブレイン・バーストの世界に再び姿を見せるようになった黒雪姫。
『ブレイン・バースト』をインストールしている春雪の幼馴染で、元は青の王の軍団に所属していたが前巻での戦いを経て、春雪と黒雪姫が再興した黒の王の軍団『ネガ・ネビュラス』に移籍した接近戦型デュエルアバター<シアン・パイル>を扱う黛拓武。春雪、拓武の共通の幼馴染で拓武の彼女であるが『ブレイン・バースト』の存在は知っているが<バーストリンカー>ではない倉嶋千百合。
今巻から登場は、春雪の母親が預かってきた従姉弟の子供、斉藤朋子。
『ブレイン・バースト』の世界で<災禍の鎧>と呼ばれる強化外装を身につけたものが呼ばれるようになる<クロム・ディザスター>。『純色の七王』の一角で、道化師のような姿の通りの幻惑や幻覚などの特殊能力を得意とする『黄の王』、<イエロー・レディオ>。『純色の七王』の一角で、超重量級の強化外装を大量に装着し遠距離攻撃を初めとした砲撃戦を得意とする『二代目赤の王』である<スカーレット・レイン>。
・シナリオ
黒雪姫との出会いにより、一回り成長したハルユキ。そんな彼のもとに、「お兄ちゃん」と呼ぶ見ず知らずの小学生・トモコが現れる。二人のいちゃいちゃする様子を見た黒雪姫の冷徹な視線がハルユキを貫く中、「加速世界」では、謎の事件が勃発していた。乗っ取られると精神を汚染され、敵味方関係なくデュエルアバターを襲い続けるという呪いの強化外装「災禍の鎧」。殺戮を繰り返す狂気のアバターを捕らえることができるのは、唯一の「飛行アビリティ」をもつデュエルアバター、「シルバー・クロウ」のみ。「鎧」討伐ミッションを課されたハルユキの運命とは!?第15回電撃小説大賞「大賞」受賞作、待望の続編登場。(7&YHPより抜粋。)
・感想
今回の話はゲーム風に言うなら『討伐イベント』という感じでした。特殊アビリティである『飛行』に覚醒し、一時的に圧倒的な戦績を残すも対策を練られ、めっきり対戦において精彩を欠いている春雪ことシルバー・クロウ。春雪はそんな状況を打破しようと、自己流の訓練プログラムを組んで特訓をしたりしている中で、二代目の『赤の王』であるスカーレット・レインと出会いこれと対戦する。対戦結果は残念ながら敗北するが、スカーレット・レインが勝者の権利として要求したのは「リアルでブラック・ロータスと会わせろ」というものだった。その目的は『災禍の鎧』と呼ばれる特殊な強化外装を破壊するため。装着者の精神を汚染し破壊衝動を暴力的に発揮させ、リアルにまで影響を及ぼす呪われた危険な強化外装『災禍の鎧』。それを装備してしまった自分のレギオンのメンバーを倒す手段として、春雪の『飛行』アビリティを使うため。リアルでスカーレット・レインと会ったブラック・ロータス―――黒雪姫は、かつて『災禍の鎧』を破壊するための作戦に参加していた経験もあり、鎧の危険性を鑑みて『災禍の鎧』破壊作戦に参加を表明する。自分たちの王であるブラック・ロータスを助けるため、作戦における自身の役割もあり、仲間となったシアン・パイルと共に春雪は『災禍の鎧』討伐作戦に参加することになる―――。そんな流れです。
内容は上記のような展開で、その中で春雪が敗北が続く中で戦いにおいて成長を、過去に犯してしまった罪と黒雪姫が向き合う克服を、スカーレット・レインが『災禍の鎧』を着た元仲間を仲間でありながら倒さねばならない葛藤と果てに出した結論を、シアン・パイルが1巻で信頼を裏切る形を取った自分を再び仲間としてみてくれた春雪や黒雪姫に対する忠義を、各人がそれぞれ見せていて、各々の精神的な成長が多く見られた作品でした。
今回は春雪はバトル面においてはなかなかいい所が無いです。初戦からスカーレット・レインという2代目『赤の王』を相手にして猛烈な弾幕戦に持ち込まれ、起死回生を狙うも残念な結果に。その後の乱戦なども飛行アビリティを使って何人かは倒しますが結局は地に伏せと、完勝がありません。ですが、そういった下地を経て苦手とする超遠距離からの狙撃に対しては対応して見せるなど、主人公らしい活躍もあり今回の春雪は決めるところでは決めますがそれ以外ではまだ成長途中のルーキー、という印象でした。
単純な戦闘での強さ、という面ではブラック・ロータスこと黒雪姫の初の戦闘シーンが圧倒的でした。両手両足が剣という極近接戦闘仕様のブラック・ロータス。『黄の王』<イエロー・レディオ>の配下である多数のバーストリンカーを相手にして次々と、1人2人3人4人5人…と、次々と相手が出てきて連続で戦いが続く中で、まったく労せず勝利勝利勝利と繰り返していくその姿は、春雪や拓武がまだ良くて中堅どころということを強く感じさせられます。レベル9という最上位のバーストリンカーの名に恥じない、鋭利鮮烈圧倒的な戦闘シーンは圧巻です。
また、春雪より戦闘経験の多い拓武―――シアン・パイルが今巻では仲間となって初の戦闘シーンで、忠義の戦闘を見せていて印象強いです。乱戦で比較的初期に退場してしまいましたが、名前にもあるパイルバンカーを使った玉砕戦法は拓武の忠義心の強さが、春雪や黒雪姫に感じている恩義の深さを感じられました。
総じて今巻で感じたのは、全体的に対戦格闘ゲームのノリから脱してMMORPGみたくなっていました。1対1ではなく多対1や多対多というバトルロイヤルな印象。チーム戦などもありで1巻よりも対戦格闘を感じさせられる部分が減っていて、戦闘ひとつひとつの密度は薄くなっている印象でした。しかしその代わりに仲間との協力プレイが重要視されていました。近接攻撃型アバターの突撃を遠距離攻撃型アバターや特殊技能型アバターが援護したり、遠距離攻撃型アバターへの攻撃を近接攻撃型アバターがブロックしたりという、誰かをカバーしながらの戦闘が多く見られる展開が多かったこと。今後の展開としてはチーム戦が多くなりそうだな、という感が強かったです。『ネガ・ネビュラス』がブラック・ロータスを王にシルバー・クロウ、シアン・パイルの2大側近を主軸にここからチームメンバーが増えていき、果ては他の純色の王のチームと戦ったり、二代目赤の王のチームと共闘したりとか?そんな展開が夢想できますねー。

購入リスト

神曲奏界ポリフォニカ メモリーズ・ホワイト (GA文庫)

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みんなのヒ・ミ・ツ (GA文庫)

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GA文庫出てました。しかしGA文庫は先月の帯に書き込まれている「来月のラインナップ」が当てになりませんね…
やたらと延期になるのはどうにかして欲しいです。もう少し先の展望が出来てから告知して欲しい…。(´・ω・`)