六畳間の侵略者!?

六畳間の侵略者!? (HJ文庫)

六畳間の侵略者!? (HJ文庫)

六畳間の侵略者!?

著者・健速先生。挿絵・ポコ先生。健速先生は「たけはや」と読み、PCゲーム「遙かに仰ぎ麗しの」、通称「かにしの」という作品のシナリオライターをされていたそうです。同レーベルからは以前に「あの日々をもういちど」という作品を出されていますね。
・登場人物
主人公は元・野球部で体育会系の性格と体格をしている普通の高校1年生、この春から一人暮らしをするためにころな荘106号室に入居した里見孝太郎。孝太郎が入居する前からころな荘106号室に居た幽霊で、これまでの入居者を騒霊現象などで追い出していた東本願早苗。地底世界から使者としてやってきてころな荘106号室に祖先を祭る祭壇を作りたがっている、さり気に巨乳で料理も得意という巫女のクラノ=キリハ。過激な魔法少女のコスプレ姿で登場した為に以後、誰からも魔法少女と認められない魔法少女、でも影で部屋が壊れないように魔法で補助していたりする不幸体質の縁の下の力持ち、虹野ゆりか。銀河の果てからやってきた皇女で皇位継承権を得るための試練として、孝太郎を支配下において忠誠を誓わせようとする銀河の超テクノロジーを使えるティアミリス・グレ・フォルトーゼ。ころな荘と関係の無い一般人として存在する、孝太郎がある思い出の編み物を編み上げる為、編み方を習うために入部した編み物同好会の会長の桜庭晴海。
他、サブキャラクターとして孝太郎の親友にして愛称「マッケンジー」と呼ばれる松平賢治。ころな荘を死別した両親から引き継いだ形見として守っていく、その為にころな荘106号室を狙う面々と相対しても圧倒できる実は意外な実力者の大家さん、笠置静香。ティアの護衛で身の周りのお世話をする常識人、ルースカニア・ナイ・パルドムシーハことルース。
・シナリオ
高校入学から一人暮らしを始めることになった苦学生、里見孝太郎が見つけた家賃五千円の格安物件。その部屋“こころな荘一〇六号室”は…狙われていた!意外なところからつぎつぎ現れる可愛い侵略者たちと、孝太郎との壮絶な(?)闘いの火花が、たった六畳の空間に散りまくる!健速が紡ぐ急転直下のドタバトルラブコメ、ぎゅぎゅっと始まります。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この作品はハーレムパニックものとでも言いますか、主人公の少年の元に個性豊かなヒロインたちが続々と現れて彼女たちが巻き起こす騒動に主人公が振り回される、というタイプの作品ですね。
ヒロインは幽霊少女に巫女娘、皇女姫様に魔法少女と普通の女学生と、タイプはいろいろと揃えられています。ですがこの巻では全員がまずは登場、という形であり、同時にころな荘106号室を狙っているのだ、ということを知らせるための話でもありキャラクターを掘り下げた書き方はされていません。広く浅く。そんな形でキャラクターが紹介されています。
しかしその分が半比例しているのか、主人公である孝太郎のキャラクターは若干影が薄いですね。あまりに普通過ぎる、といいますか。体育会系の体格、性格をしていて編みかけのセーターに思い入れがあるとか特徴づけはされていますが対応は常識人。普通人という存在で普段の生活スタイルなどで読者の感情移入はしやすいですが、逆にヒロインたちがドタバタと活動しているときはその存在をうっかり忘れてしまいます。
総じて、この作品の魅力は次々と登場するヒロインたちの個性豊かさと、それに振り回されている主人公である孝太郎の対応などでしょうか。
ですがころな荘106号室を侵略する、という目的で主人公やヒロインたちが出揃いましたが「さてこれからどうするのか?」という視点で見ると先がまったく見えず、キャラクター個々で見るともう少し別の形で活躍が見たいと思えますが「作品そのものの展望」という形では先の目標が見えないのでその辺りが続刊が出るとしたら気になるところですね。