ベン・トー3

ベン・トー 3 国産うなぎ弁当300円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 3 国産うなぎ弁当300円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー3 国産うなぎ弁当300円

著者・アサウラ先生。挿絵・紫乃櫂人先生。アサウラ先生はスーパーダッシュ文庫レーベルで「黄色い花の紅」「バニラ」などの作品を出されています。庶民派シリアス学園ギャグ・アクション小説第3弾です。
・登場人物
主人公、半額弁当を求めたが為にそれまで知らなかった”狼”たちの最中に飛び込む事になり、巨大な敵『帝王』を相手に戦ったがそれらの功績により、今巻から仮とは言え不名誉な二つ名を名付けられてしまう佐藤洋。二つ名『氷結の魔女』の異名を持つHP同好会の会長で歴戦の勇士、槍水仙。偶然洋と同じ時に半額弁当を求め、彼と同じくして”狼”たちの存在を知り自身の趣味もあり”狼”たちの世界に関わっていく事を選択した隠れオタク少女、白粉花。花の親友で彼女の事を色々とやばいくらいに溺愛している委員長で生徒会長候補、白梅梅。”魔術師”の異名を持つ”狼”で前HP同好会会長、金城優。二つ名『湖の麗人』と呼ばれる元となるイタリア人の母を持つ金髪ハーフで、洋の幼馴染で従姉の丸富大学付属高校1年の著莪あやめ。
サブキャラクターは超ドMで、洋が白梅梅に狙われた時に身代わりにされて過剰なまでに色々とされてしまっても喜ぶ、真性の内本宏明。半額印象を張り”狼”たちに戦いの鐘を告げる者の一人である、通称アブラ神。アブラ神同様の”狼”たちに戦いの鐘を告げる者の1人であり、アブラ神とは別の店で働くジジ様。”狼”の1匹で、洋曰く「大変よい乳をした」茶髪の女子高生。”狼”の1匹で、誇りを持って半額弁当争奪に挑むナイスガイの顎鬚。元・ガブリエル・ラチェットの頭目で現在はガブリエル・ラチェットを解体しながらまた一匹の“狼”として活動し始めている二階堂連。他にも素敵な名前の“狼”が多数です。
今巻で登場するニュー・カマーは、2人組みの“狼”だが、ある理由から戦場(スーパー)から遠ざかっていた二人一組の二つ名『オルトロス』と呼ばれるあやめの通う学校の生徒会長、沢桔・梗と副会長である沢桔鏡。
・シナリオ
半額弁当争奪バトルに青春を賭ける高校生・佐藤洋。ある日、佐藤は自分に凄腕の『狼』の証である二つ名がついていることを知る。しかし、その名は理想とはかけ離れた悲惨なものだった—!同じ頃、戦場に圧倒的な力を持った双子の沢桔姉妹が現れ、次々と弁当を奪取していく。彼女らには訳ありの過去があり…!?さらにHP同好会に迫る死に神の魔の手に槍水が最大の危機を迎える!—半額シールが舞う時、『狼』たちの咆哮が上がる!空腹を力にただ前へ!力の限りその手をのばし、弁当と勝利をつかめ!庶民派シリアス・ギャグアクション、人気もうなぎ昇りの第3弾。(7&YHPより抜粋。)
・感想
燃えコメディ弁当争奪バトル小説の第3巻。今巻では『氷結の魔女』の二つ名を持つ洋の先輩の槍水仙と関係を深めたり、自分についた不名誉な二つ名に翻弄されたりしながら、新たな敵としてやってくる二つ名『オルトロス』を相手に洋が奮闘する話です。
話の中心となるのは今巻は洋ではなく、双子の今巻のヒロインである『オルトロス』沢桔梗、沢桔鏡姉妹となります。コメディ色が強い所や、ここぞという弁当争奪戦での決めシーンなどでは主人公らしく洋が前に出て活躍しますが、それまでの間は随所に双子姉妹のシーンが挿入されます。彼女たちがあることに苦悩しながらも僅かな期待に縋る様に洋や仙たちに関わってくる姿が、健気ながらもどこかに笑いを滲ませて繰り広げられるという、場面状況の変化が激しい作品になっています。
また、このシリーズに共通して言える事ですがこの巻でも多聞に洩れず、料理―――半額弁当に関しての薀蓄がグルメ漫画ばりにある種大げさに、しかし食欲をそそる情感たっぷりに半額弁当の魅力を語られています。
総じて今巻では、一度はスーパーという戦場から離れることを選ばざるを得なかった『オルトロス』姉妹が、時を経て、洋という新しい風に吹き寄せられるようにまたスーパーに現れる…そんな所から始まる話です。そしてその新しい戦場で再び過去と対峙することになった時、オルトロス姉妹は洋たち現在の“狼”たちと過去、自分たちが対峙した“狼”たちの誇り高さの違いに救われる―――そんな、誇り高い者こそが“狼”を名乗れるんだな、とスーパーに集う者たちの精神が語られる話になっていました。