退魔生徒会万聖節前夜

退魔生徒会万聖節前夜―Replay:真・女神転生TRPG魔都東京200X (integral)

退魔生徒会万聖節前夜―Replay:真・女神転生TRPG魔都東京200X (integral)

退魔生徒会万聖節前夜 Replay:真・女神転生TRPG 魔都東京200X

著者・朱鷺田祐介先生。挿絵・黒百合姫先生によるTRPGシステム、『真・女神転生TRPG魔都東京200X』のリプレイ本です。前作である『聖華学園退魔生徒会』の続編物になります。とはいえ続編と言っても話の繋がりはあっても、それで1つのシナリオをプレイングしてるという訳ではないので、ここから読んでも大体大丈夫、という事で。
・登場人物
豊野香苺、チャーリー・ウェリントン、溝呂木麟、笹塚千代、という4人のPCで組まれたパーティが、所属する学園の生徒会から怪しい物事担当の「退魔生徒会」として依頼を受け、それらを解決する1話完結形式が基本のプレイングです。
・シナリオ
学園周辺になぜか頻発する怪異事件を極秘裏に処理する、秘密チーム「退魔生徒会」。いつものようにゆる〜っとしてたメンバーも、今回はそうも言ってられなそう?突然転校してきたゴスロリ少女・日高雪に、銀髪美少年のヨハン。もちろんそれには理由があるわけで。折りしも、学園内はハロウィーンのイベントに向けて盛り上がりを見せる最中。噂がうわさを呼び、そして異界とのバランスが…。コンシュマーRPG『真・女神転生』『真・女神転生2』の世界観をベースにしたTRPG『真・女神転生TRPG魔都東京200X』のリプレイ・シリーズ第5弾。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この巻は、かつての敵が再登場して学園に入り込んだりしてきて何やら学園内に退魔生徒会以外の勢力ができていく傍ら、ハロウィンを迎えるまでとハロウィン当日に起きた出来事が第10話と第11話として語られています。そしてこの作品シリーズ『真・女神転生?』はアトラス作品の何かしらのモチーフやメガテンシリーズに出てきた神話が混じっています。この巻では「ペルソナ3」と「ペルソナ4」が一部、それから「クトゥルフ神話体系」に関してが少々に噂システムということで「ペルソナ2」辺りが多めに入っていますかね。
第10話は「謎の転校生:携帯メールとUFO」。「クトゥルフ神話体系」に「ペルソナ2」が混じった様な物語が話の根幹を成しています。噂システムを活用/悪用して話が作られていき、最終的には噂システムによって発露した敵の元へ、同じく噂システムによって足を用意した苺たちが赴いて戦う、という流れになります。噂システムを使ってGMが何をしようとしていたのか、それを読みきって情報収集などの行動をするPC側の知恵の切れには目を見張るものがありますね。
第11話は「万聖節前夜」。PCメンバーが絆を育んできた相手との絆の一部が『Complete!』状態になったりするなどで、これまで積み重ねてきたものの多さ、重さを実感する話でもありました。チャーリーがひとつ大人になる話ということもあり、彼と銀座のマダムとの最後の会話とそこから流れていくBOSSバトルからその後のやりとりは、結構ドラマティックでしたね。またこの話はかなり長めです。第10話の倍くらいあるんじゃないでしょうか。それだけにBOSSも強力でその戦いに至るまでの情報収集や根回しのロールプレイ、前話で登場した噂システムによる最後の戦闘舞台の設定などが短い会話なども含めて軽快に繰り広げられていくのです。が、あまり長々と読み続けたという印象はなかったですね。読み終わったら「結構読んでたんだなぁ」と思うような読み易さでした。
総じてこの巻は、戦闘に関しては前巻を読んだ際の完読感想で推測した通り、BOSSなどのバトルでも状態異常を起こすスキルなどが多めに使われるようになっていました。しかしこれまで数多くの敵BOSSと戦ってきた退魔生徒会だけあり、基本スペックもだいぶ高くなっており並の状態異常は効かないのでラストのBOSS以外は大したことない印象だったのが少々残念でした。マンネリな展開にならないために毎回ピンチとは言わないまでも、何かしらの山場は欲しいところでしたね。退魔生徒会の面々のこととしては一部の絆が『Complete!』したりしてだんだんクライマックスが見えてきた感じです。とは言え次の巻は修学旅行編だそうで、まだまだ終わるって事は無いようですが。