ドラゴンクライシス!7

ドラゴンクライシス!―オトナの儀式 (集英社スーパーダッシュ文庫)

ドラゴンクライシス!―オトナの儀式 (集英社スーパーダッシュ文庫)

ドラゴンクライシス!7 オトナの儀式

著者・城崎火也先生。挿絵・亜方逸樹先生。遺物探索トラブルアクションラブコメディ、とでもいったところでしょうか。著者の他作品は「嘆きの館」、「鬼刻」シリーズ、などがありますね。
・登場人物
主人公で『遺物』の特殊能力を引き出す能力を持つレベル10遺物使いの如月竜司、レッドドラゴンの幼生体で竜司に懐いて一緒に居る金髪碧眼の少女ローズ、竜司のハトコでトラブルメーカーな女子大生で遺物探索家の七尾英理子。この三人がメインキャストというところでしょうか。またサブヒロイン的な立場で元・大怪盗オッドアイで現在は名門お嬢様学校に通っているアイこと本名は牧原愛華
今巻で登場する重要人物としては、第1巻以来久々の登場になる敵役、犯罪組織「ファング」に君臨するブラック・ドラゴンの雄でローズを花嫁にと狙うオニキス。そんなオニキスに拾われて以来、彼を信頼して慕っている、思ったらすぐ行動する活動的だがまだ実力が伴っていないブルー・ドラゴンのサフィ。
・シナリオ
ドラゴン少女サフィが竜司を襲撃!目的はリベンジ…のはずが、事態は意外な方向へ。彼女に刺激されたローズが、竜司と“オトナの儀式”をしてしまい、ラブラブが一気に急加速!?とんでも無いことに。アイや実咲を巻き込んでの、ローズとサフィの恋心に大注目です!さらにあの強敵も再登場!ドキドキが止まらない大人気シリーズ、いよいよ新展開の第7巻。(7&YHPより抜粋。)
・感想
第7巻。この巻最大の特徴はやはり、背表紙に巻数表記が付きだしたことでしょう。つまり新展開が始まる、という意味表記でもあったのかもしれませんね。
内容は、第1巻で登場して竜司とローズを苦しめながらも2人の絆を強くする一因となった敵役、ブラックドラゴンのオニキスに拾われたブルー・ドラゴンのサフィが、オニキスが執着するレッド・ドラゴンのローズがどんなヤツなのか見にきたことから始まります。最初はローズに危害を加えるくらいのつもりでやってくるサフィ。しかしローズや竜司、英理子と接するうちに仲良くなっていったサフィは、やがてローズにある「ドラゴンの儀式」を教える。それがきっかけとなって、ローズは竜司を意識し始める―――という、大きな出来事やアクションがあるわけではありませんが、精神面という一面では重要な要素が詰まった巻です。
この巻での見所はローズの竜司への態度の変化でしょうね。
良くも悪くも無邪気に竜司に引っ付きに行っていたローズが、「儀式」を経たことで色々な部分がまったく変わっているのが目新しいです。特に天真爛漫で周りを振り回すトラブルメーカーだったローズが、竜司を男性として意識した為に落ち着いたナイーブな少女になっていたのは驚きでした。また、サフィに連れられて買い物に行ったローズがサフィの選んだ下着の過激さに赤面したりと、サフィに振り回されていて普段竜司を振り回す役割だったローズが振り回される側になっていたりしてその立場の変化が面白かったですね。子供だったローズが思春期を迎えた中学生レベルになった、という一足飛びながら劇的な変化を起こしていて微笑ましいです。
総じてこの巻は新シリーズ―――というか、ローズが無邪気な子供だった時期を第1期とするなら、思春期を迎えて恥ずかしいことはまずかしいのだ、と意識するようになった思春期中学生な時期の第2期が始まる?的な展開で進む巻でした。今後、ローズがこのままの性格で行くのかそれとも今の恋心を抱えたまままた天真爛漫に戻るのかはわかりませんが、どちらに転んでもこの先も面白くなりそうでしたね。