プロジェクトMP2

プロジェクトMP (2) (集英社スーパーダッシュ文庫 は 4-3)

プロジェクトMP (2) (集英社スーパーダッシュ文庫 は 4-3)

プロジェクトMP2〜Mascot Parasite〜

著者・番棚葵先生。挿絵・よし☆ヲ先生によるスラップスティック美少女学園戦隊コメディ…でしょうか。私は未読ですが、著者の番棚葵先生はスーパーダッシュ文庫レーベルで「戦え!松竹梅高等学校漫画研究部」という作品を出していますね。
・登場人物
主人公でヒロインたち5人―――マナレンジャー――ーに正体を隠して”悪の怪人”をしている峰岸広瀬。メインヒロイン、広瀬の幼馴染で天然で若干のお子様趣味を持つ八重樫綾。陸上部のエースで明るい性格の谷川都。広瀬の従兄妹で1つ下なだけなのにロリコン分担当かと思うような容姿を持つ木崎華。実家がお好み焼き屋のキビしい風紀委員、熊谷祭。成績優秀な優等生だが体力面ではめっきり駄目な高見沢雪。世界に特許を幾つも持っている天才で、この話の種になる「プロジェクトMP」企画立案実行者の教師、天川学美。
今巻では前巻で敵役だったが世界から去った『Bショック』の、マスコット・キャラクターだったが次元移動の際に取り残されてしまった妖精のエミリが広瀬たちに関わってきます。
・シナリオ
相変わらず学美先生に強制され、怪人役として美少女戦隊のマナレンジャーと(やらせで)戦う広瀬。彼はひょんなことから前回敵対した異次元集団の一員、妖精のエミリと遭遇する。行き場のない彼女を家に居候させてやる広瀬。しかしエミリの恩返しのつもりの魔法が、広瀬を次次と不幸な目に遭わせることに!?美少女学園戦隊ギャグ、必笑の第2弾。(7&YHPより抜粋。)
・感想
マッチポンプな出来物語を楽しむつもりで事を起こしたが予想外の事も起こって予定外の出来事が一杯起きて話をかき回しますが、それも含めて楽しむ登場人物たち、という作品だった第1作目の続編です。
今巻は、前巻で異次元の侵略者として登場した『Bショック』という一団のマスコット・キャラクターだった妖精のエミリが巻き起こす事態と、宇宙の脱獄囚が巻き起こす事件の2つが起きて、巻き込まれた広瀬やマナレンジャーの面々がまた苦労する―――的な展開です。
明るくて週刊少年ジャンプが好きで、ちょっと抜けてるが魔法を使って色々できる妖精のエミリ。この巻はそんなエミリがマナレンジャーのマスコット・キャラクターとして受け入れられるまで、みたいな話のノリになっていますね。異次元人で妖精、という周りの人たち―――広瀬や綾などの面々とは明らかに違うエミリが、その疎外感などもあって必死に居場所を作ろうとするが失敗が続く。でもそれを許す周りの優しさに触れて、広瀬やマナレンジャーと親交を暖めていく。そんな展開です。
マナレンジャーに関してみれば、今巻は戦隊ヒーローもののノリとは言え主役がエミリですので、前回ほど戦隊物な展開はありませんでしたね。巨大ロボット戦もお休みでしたし、かといってコメディ部分が強くなったのかというとそうでもなく。普通に怪人と戦って渡り合っていて、前巻で見せたあの弱さは何処へ行ったのか、と思うような普通の戦隊ヒロインズとして活躍していました。『最弱戦隊』としての活躍という面で見れば、今回はあまり期待できないと思います。
広瀬の活躍、としてもあまり真新しいところはありません。基本は『峰岸広瀬』がマナレンジャーに協力する形だったりエミリが起こした魔法騒動に対処したり、という感じで前巻にあった『怪人』に扮装しての協力などはあまり見られませんでしたね。最後の展開でも広瀬が行おうとしたのは前巻と同じ怪人スーツの爆発を利用した戦法だったりと、ここでも新しさはありませんでした。
総じてこの巻は、新キャラクターのエミリに焦点を当てての物語が中心でしたがそれに固執しすぎていて、他のキャラクターの見せ方が薄かった印象を覚えました。かと言っても面白くなかった、というものではなくエミリの表現が多すぎて他のキャラクターの掘り下げ、敵の存在が軽くなってしまっていた、と感じたというもので、随所に混じるコメディ要素は十分に面白かったです。