SH@PPLE2

SH@PPLE―しゃっぷる―(2) (富士見ファンタジア文庫)

SH@PPLE―しゃっぷる―(2) (富士見ファンタジア文庫)

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著者・竹岡葉月先生。挿絵・よう太先生。双子の姉弟が、入れ替わって互いの立場になって生活してみるという、男と女の入れ替わり物語ですね。今巻の舞台は温泉。新キャラ登場で男女の入れ替わりがばれそうになってあらあらとか、新キャラの出生がどうのこうのとか、登場人物各人の気持ちはどこだここだ、とかそんな感じで進みます。
・登場人物
主人公で家事能力が高く成績も優秀、双子の”弟”で一駿河蜜に一目惚れして姉、舞姫の入れ替わり案に乗ることにする淡谷雪国。雪国の双子の”姉”で、青美女学院というお嬢様学校で生徒会長を務め”若光の君”と呼ばれる、2人の入れ替わり案を出した張本人、淡谷舞姫。作品的ヒロイン、青美女学院に通うお嬢様でお嬢様たちのコミュニティ”ソロリティ”の一員で、性格はややきつめの混乱系なB級グルメが大好きだがお姉さまたちには言えないという秘密を抱える一駿河蜜。蜜のことを妹分として可愛がるソロリティの主要メンバー、前巻の出来事を通じて雪国(舞姫扮装の方)に、ちょっと興味が出てきている蝶間林典子。SEC―――空舟エンジョイ委員会―――の会長で女の子たちの味方、芝目夏彦。小柄なSECメンバー大道寺。SECメンバーの巨漢、豆坂。
これら前巻から引き続いての登場人物たちに加え、この巻では舞台となる温泉でホテルを経営している世界的女性ピアニストのニナ・ブライス。その娘のエリス・ブライス。雪国の変装をしている舞姫が宿泊するボロ旅館の主である若旦那、百瀬晴継とボロ旅館を取り仕切るおばちゃんなどが登場します。
・シナリオ
大好きな一駿河蜜さん!僕、淡谷雪国は確信したんだ。憧れじゃない、これはもうホントに、こ、恋だと思う。お嬢様ばかりの青美女学院に、僕はヅラとスカートを駆使して通っている。生徒会の若光の君、あるいは双子の姉・舞姫の代わりとして。貧乏舌の蜜さんと仲良くするために、駄菓子で餌付けしてたら!?チャンスが巡ってきた!?彼女が突然「旅行へ行きませんか」って。ソロリティの胡蝶の宮のご指名というからには、なんか理由があるみたいだけど。ホテル白兎苑に着いたら、蜜さんと、あははうふふと温泉卓球するつもりが、入浴中、オーナーの娘にハダカを見られて。女装がバレた…!?ど、どうする—。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この巻は、前巻で描かれた”変革”や舞姫、雪国のそれぞれの学校の裏側で活躍していた人の”紹介”が目的だった第1巻とは違い、雪国(姿は舞姫)と蜜を中心として、舞姫(姿は雪国)と典子、芝目たちと舞姫(姿は雪国)などの、男女関係の錯綜が中心に据えられて書かれていますかね。要は、温泉を舞台にした典型的なラブコメ・ストーリーが、今巻の話でしょう。そこに、新キャラクターのエリスが関わってきて一筋縄では行かない話に。温泉で雪国は蜜と仲良くなれるのか?典子は雪国(中身は舞姫)とどう関わっていくのか?SECはこの先どうなる?―――といった感じが、気になる所ですね。
今回の話は、典型的なラブコメ・ストーリーということでエリスに雪国の正体がバレたり、それを誤魔化す為に舞姫が一芝居打ったり、自分の心が信じられない蜜が脱走劇を繰り広げたり、それを鬼の形相で雪国が追いかけたりと、なかなかアグレッシヴなストーリー展開でした。
温泉が舞台だけに、この巻での挿絵は美少女によるあられもない姿が多く、その辺りはもう少し抑え目にしてもよかったのではないかと思いましたが、ラブコメならさもありなん。そこが見所であり作品の魅力でもあるので、コレくらいが打倒なのかな、とも。
そしてラストでは、次巻に続く伏線が張られて幕。続きの巻が気になる、あこぎながら効果的な引きでした―――。