サムライガード

サムライガード 警護寮から来た少女 (GA文庫)

サムライガード 警護寮から来た少女 (GA文庫)

サムライガード 警護寮から来た少女

著者・舞阪洸先生。挿絵・椎野唯先生。舞阪先生は富士見ファンタジア文庫で「火魅子伝」シリーズや最近では「狗牙断ちの剣」というものを出したりしているようですね。
・登場人物
メインキャラクターは3人、主人公で徳川家の嫡子であり最近将軍職継承順位が第23位から第17位に昇格した為に様々な刺客に狙われる事になってしまう土岐川清海。そんな清海を警護する為に登場する幻の剣術『天心無明流総伝』の達人武士少女、愛生愛香。愛香と同じ清海を守護する為にやってくる忍者上がりの武士少女、毬元毬藻。サブキャラクターには清海を慕う大和撫子的剣術少女の同級生、化野雪乃。愛香や毬藻の上司に当たる警護寮の課長、香我美橘華。清海に仕える家宰の石見重太郎、清海が通う学校の校長で縁戚でもある松平助信有恒など。
そして敵か味方か、清海に何か色々と仕掛ける謎の男、斎。名前もわからないプリ☆綺羅ブラックとホワイトの仮面の男女、などが登場します。
・シナリオ
凛としたサムライ少女たちによる剣術活劇!
徳川の家系だが、世継ぎから遠い位置にいた主人公・清海。 しかし上位候補の辞退が相次ぎランクアップ。幕府から護衛のためにサムライ少女が派遣され、二十四時間護衛されることに!
土岐川清海様とお見受けいたします」
明治維新がなく、刀もまた命脈を保った現代日本。徳川の家系であるものの、世継ぎからは遠い位置にいた高校生・土岐川清海は、唐突に現れたサムライ少女に目を見開いた。
「あなた様の護衛を命じられたため、参上いたした次第でございます」
彼女は急遽世継ぎ順位が上がった清海を護るため、警護寮から派遣されてきた〃サムライ少女〃だった。
「これから二十四時間お側に張りついて、あなた様をお護りいたします」
外に敵、内には――サムライ少女。
果たして清海は再び平穏な学園生活を送ることができるのか!?
「ちなみに、拒否権は?」
「ございません」 (Amazon紹介ページから抜粋。)
・感想
この作品はかなりストイックな感じを受ける作品ですね。しかし内容がストイック、というわけではなくて設定というか、文体がストイック、という感じです。例えば学年を示す時でも「1年2組」では無く「1年弐組」となり、日本人は基本的に剣術を奨励して学び帯刀している、という世界観設定である「徳川将軍家が倒れず、江戸幕府が今でも続いている日本」という雰囲気を良く出してます。
話そのものもかなり堅い感じです。剣と剣の切り結びの様子が緻密に書かれ、文字通りの『武士と武士の決闘』や『多対一の殺陣』の様子などが細かいところまで良く書き込まれています。
そんなかなりストイックな感じですが、華やかな部分は華やかです。イラストも美麗ですし。美麗さの中に見える女性としての華が、刀という物騒さと良い対比になっていて綺麗です。
愛生愛香というヒロインに関しては、やや世間知らずに見せかけながらその実機転の効く言い回しを見せて清海をおちょくるという一見真面目な小悪魔系で、戦闘力の高さもあってメインヒロインの相応しい活躍を戦闘でも日常でも見せていましたね。黒髪黒目黒のセーラー服に、刀の無骨さが目を引く姿がヒロインに相応しい華を見せています。また、個人的には毬藻の姿がどうにもゲーム「大悪司」のヒロイン、山本殺を思い出す年格好で妙に印象に残りましたね。
しかしながら敵刺客との戦闘シーンに関しては一刀の元に切り伏せるという事が多く、その為その描写が生々しく感じるものが多かったのが今の風潮から見ると少し不安に感じますね。この生々しさに引く人と受け入れる人、その差がこれからの人気に直接関わってきそうだと思いましたね。