ゼロの使い魔14

ゼロの使い魔14 水都市の聖女

著者・ヤマグチノボル先生。挿絵・兎塚エイジ先生によるアニメ化もした人気シリーズの第14作目です。
・登場人物
主人公で現代世界から異世界ハルケギニアに、伝説の使い魔<ガンダールヴ>として召喚された平賀才人。ヒロインで使い魔としてのサイトの主人に当たる、伝説の魔法系統<虚無>の使い手ルイズ。サイトたちに誘われひっそり隠れ住んでいた村から出てきて、トリステイン魔法学院に入学したルイズと同じ伝説の系統<虚無>の使い手の、ハーフエルフのティファニア。キザでバカなサイトの悪友とも親友とも言える魔法学院の生徒で、今は水精霊騎士隊隊長として時には男らしいところも見せるギーシュ。ギーシュやルイズの同級生、現在は水精霊騎士隊の隊員マリコルヌ。タバサ、キュルケ、モンモランシーといった魔法学院の学生でルイズの友人たちなど。ルイズが属するトリステイン王国のアンリエッタ女王陛下、ロマリア教皇で伝説の魔法系統<虚無>の使い手でもあるヴィットーリオ・セレヴァレ、その使い魔<ヴィンダールヴ>のジュリオ・チェザーレなどですかね。
そしてこの巻では重要な登場人物として、始祖の使い魔、先代ガンダールヴのサーシャと始祖ブリミルらしき虚無の使い手ブリミル・ル・ルミル・ニダベリールが登場します。
・シナリオ
ガリア王ジョゼフの野望を砕くため、ロマリアへの協力を決めたルイズ。しかし、最も危険な役割を担う才人を案じたルイズは、ロマリア教皇の持つ「虚無」の力を借り、才人を元の世界へと戻すことを決意する。才人が突然姿を消したことにとまどうティファニアたちだったが、ガリアを迎え撃つために国境近くの街・アクイレイアへと出発したため、うやむやになってしまう。一方、ジョゼフの命令を受け、騎士人形「ヨルムンガント」の“軍団”はロマリアを目指して出立していた――。ルイズの運命は、才人の決断は!? 大人気の冒険ラブコメファンタジー第14巻!(7&YHPより抜粋。)
・感想
今巻は、ついに戦端を切ったガリアとロマリアの戦いの前哨戦の中、ルイズが虚無の使い手として関わる事を書いているという感じですね。その中でルイズがサイトを思うが故に擦れ違い、その後に仲直りの様子が書かれる、という感じです。
サイトを思うが故にルイズはサイトを元の世界に返す決心をし、サイトを眠りの秘薬で昏倒させた前巻。この巻では、昏倒させたサイトを元の世界に戻すための方法を持つ教皇ヴィットーリオに引き渡した後から始まります。サイトを帰して一人で虚無の担い手としての役目を果たそうと、サイトの記憶を虚無の魔法で消すルイズ。そんな中、ガリア王国はロマリアに対して侵攻を始めていた。シェフィールドが操る魔導人形ヨルムンガンドがその圧倒的な戦力でロマリア軍を次々と撃破する中、ルイズはアクイレイアの聖女と呼ばれながら、ガリアとロマリアの戦争―――『聖戦』に関わる。一方でサイトは元の世界へ戻される前、昏倒した状態で不思議な体験をしていた。果たしてルイズとサイトの行く末は―――?と言った感じで。
この巻での話は現実の出来事と、サイトが体験した夢の様な不思議な出来事の二つで書かれています。
現実での出来事はそのまま、ガリアとロマリアの戦いの話。<ミョズニトニルン>のシェフィールドが巨大ゴーレムでもある魔導人形「ヨルムンガンド」を繰り出してロマリアに侵攻する中、サイトを欠いたルイズが『水都市の聖女<アクイレイアの聖女>』と呼ばれながらそれに対抗して迎え撃つ話です。
不思議な出来事とは、眠っていたサイトが不思議な夢の様な状態で、6000年前の過去の世界で先代ガンダールヴのエルフ、サーシャとその主人であり6000年後では『始祖ブリミル』とまで呼ばれる伝説の人物、ブリミル・ル・ルミル・ニダベリールと出会います。そして謎の敵、ヴァリヤーグの存在が明らかになります。この体験が何を意味するのか、それはまだ謎ですが…。
それにシェフィールドの心中が一部語られたりして、彼女もまたひとりの人間として思う所があるのだな、と思えます。
総じて今巻では、ついにガリアとロマリアが戦端を開き、その戦いを通じてサイトが更なるガンダールヴの力―――神の左手の<槍>を使って見せ、シェフィールドを圧倒したり、不思議な体験を通じてまだサイトにもその意味はわかっていませんがヴァリヤーグという存在を知ったりして、少しづつハルケギニアの根幹に―――物語の肝に通じるような関係や謎に触れる話、という感じになっていますね。この後、サイトがまたブリミルと出会うのかということや、ヴァリヤーグとは何なのかなど、新しい謎が出ましたが、ガリアとの戦端がついに開かれ作品は盛り上がっていってますね。