ドラゴンクライシス!5

ドラゴンクライシス!5 ローズの覚醒

著者・城崎火也先生。挿絵・亜方逸樹先生。遺物探索トラブルアクションラブコメディ、とでもいったところでしょうか。著者の他作品は「嘆きの館」、「鬼刻」シリーズ、などがありますね。
・登場人物
主人公で『遺物』の特殊能力を引き出す能力を持つレベル10遺物使いの如月竜司、レッドドラゴンの幼生体で竜司に懐いて一緒に居る金髪碧眼の少女ローズ、竜司のハトコでトラブルメーカーな女子大生で遺物探索家の七尾英理子。この三人がメインキャストというところでしょうか。またサブヒロイン的な立場で元・大怪盗オッドアイで現在は名門お嬢様学校に通っているアイこと本名は牧原愛華。世界遺物保護協会から竜司の遺物レベル調査の為に、赤い髪とチャイナドレス+白衣という特徴の17歳の遺物研究者ビアンカが登場します。
敵としては堂島沙月、堂島星臣、堂島恭夜の先祖代々呪念物を取り扱う一家の3人組です。
・シナリオ
竜司がさらわれた! 敵は最高位の遺物使いを狙うレベル10狩り!!竜司に夢中のドラゴン少女ローズは一人で敵地に乗り込むが、彼を人質にされローズまで捕まってしまう。敵の狙いはいったい!?彼らと世界遺物保護教会の因縁とは? そして怨念に染まった最強の遺物とは!? 『暴虐の王』が復活する時、ローズの思いが爆発する! アイや英理子やビアンカも参戦し、命がけの決戦が始まる!!(裏表紙より抜粋。)
・感想
この巻はこれまでとは少し違い、主人公である竜司があまり活躍しない分、ヒロインたち―――ローズ、英理子、アイ、ビアンカといったメイン&サブのヒロインたちがアクションで活躍することが多い話でしたね。まず竜司が攫われ、それを助けにローズが先走り、続いて英理子、アイ、ビアンカが続々と敵地に侵入していく―――話としてはそんな流れです。そんな中で、呪われたオルロフ・ダイヤモンドの嵌まった呪われたバングルという、二重に凶悪なSクラス呪念物を使うことに固執する堂島沙月が竜司をその相手に選んだり、レッド・ドラゴンに深い恨みのある星臣が竜司を餌に抵抗できなくしたローズに拷問紛いの事をしたり、ぬいぐるみ大好きで獣っ娘大好きでもある堂島恭夜が作ったハイブリッドウェポンを繰り出した所、獣耳を生やしたアイを見初めて暴走気味になったりと、シリアスとギャグとが交互に話に絡んでくる―――そんな形で話が展開されていきますね。
この話では力技で話が進むのは最後だけで、そこまではローズは竜司を、竜司はローズを人質に取られた状態で双方とも手を出せず、竜司は沙月の思惑通りに呪われたオルロフ・ダイヤモンド入りのバングルを無理矢理身につけさせられてその呪いに苦しめられ、ローズはレッド・ドラゴンに恨みのある星臣にその奥を見た者の心の暗部を浮き彫りにして苦しめるという呪念物の箱を無理矢理見せられてこちらも苦しめられるという、主人公とヒロインの両方が拷問的に酷い目にあう展開が続きました。その分、他のヒロイン達―――英理子、アイ、ビアンカが恭夜の作った遺物と科学の融合兵器―――ハイブリッド・ウェポンの兵隊を相手にしてのアクションシーンは強い爽快さを感じられますね
しかしながら最後まで行くと、そこはここまでの話をこの巻で纏めて締めてしまおうとしているのか急な展開が多かったです。前述した力技の展開、です。呪念物で蘇った悪霊を竜司がローズと2人であっさり追い払ってしまったり、突然星臣が改心したりと、唐突に話の根本に関わる所が竜司たちに都合の良い―――と言うか良過ぎるように変化してしまっている感じで、最後は少々拍子抜けな気分でしたね。
ですが、ローズが星臣に呪念物で自分の内面を見つめさせられた結果、これまでにない強力な力をローズらしくない冷静さで使ったりして、今後に何か影響が出そうな重要そうな展開もありました。
総じるとこの巻は、ヒロインたち大活躍の巻。サブタイトル通りのローズが何かしらの力に覚醒していたり、英理子、アイ、ビアンカはハイブリッド・ウェポン相手に丁々発止の大活劇と、女性陣に活躍の多い華やかな巻でした。