魔女の生徒会長

魔女の生徒会長 (MF文庫J)

魔女の生徒会長 (MF文庫J)

魔女の生徒会長

著者・日日日先生。挿絵・鈴見敦先生。日日日先生は他に同レーベルから「蟲と眼球」シリーズ、ファミ通文庫から「狂乱家族日記」シリーズや角川スニーカー文庫から「アンダカの怪造学」シリーズ、徳間デュアル文庫からは「ギロチンマシン中村奈々子」シリーズなど、数多くのシリーズ作品を出している新進気鋭の作家先生ですね。鈴見敦先生はアニメ化もされた「Venus Versus Virus」作品などを著作に持っておられます。
・登場人物
メインキャストは、ヒロインであり『魔女』と呼ばれる生徒会長の剣シロオ。語り部であり主人公であるがヒロインのシロオからは「認識されない」生徒会メンバーの恋塚ミミクロ。生徒会メンバーでミミクロにはいつも良いようにあしらわれてしまう先輩の『みんなの友達』淀川ドロシー。生徒会のメンバーで陽気な第二大日本帝国所属の『殺人マシーン』骸コロチカ。
他のキャストは、隻腕隻眼のいじめられっ子陽月オセロ、猛烈な憎悪をオセロに向ける夜殻ニケ、オセロとニケの間に立ち仲を取り成そうと奮闘している炎ケルビム、他、といった感じで出てきます。
・シナリオ
『この学園では何をするのも自由だ。ただし生徒会長には逆らうな!』。それが、あらゆる生徒を受け入れる無法地帯の帝都世紀末学園において、唯一存在する暗黙の不文律―。学園の秩序を問答無用で守り続ける『魔女』の生徒会長・剣シロオは、ある日エリートたちの集まる『A校舎』で奇妙な事件に遭遇する。隻眼隻腕の謎の少女・陽月オセロをめぐって殺し合うふたりの生徒。争う両者をシロオがぶっ飛ばして万事解決…のはずだったのだが、オセロに「なんで邪魔をするの?」と泣き叫ばれて―。勧善懲悪バトルアクションに挑む新・日日日ワールド、開幕。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この作品はかなり格闘漫画っぽい仕立てになっています。魔女の〜というタイトルの割に魔法関係はまったく出てきません。タイトル買いした人は良い意味で裏切られるでしょうね。
この作品では、一人の少女が生来持ってしまっていた―――否、『持っていなかった』心の変調が周囲を巻き込んでの大騒動となり、それが続き、高校を舞台に生徒会メンバーを関わらせながら決着するまで、といった感じで話が進んでいきます。
友情から始まった関係も、興味を持った道も、すべてをその心の変調で失った少女が、新しく向けられる感情『憎悪』に固執し傍から見ると訳のわからない偏執的な行為に耽溺する少女。そんな少女と周りの人たちを止める、あるいは「折檻」するため、魔女の生徒会長・剣シロオが奮闘する―――基本的なところはそういった話です。
この作品、格闘漫画っぽい仕立てになっていると前述した通り、色々と聞いたことのあるような技が出てきたりします。武芸、格闘、そういった歴史の中で有名な人物が使った技が出てくるんですね。無論それとはまた違った独自路線とも言うべき戦闘方法も使われたりもします。武技格闘マニアなら著名人の技名でにやりとできるでしょうし、そうでなくとも有名な技と純粋な戦闘方法との激突、ということでバトルものとしても楽しめる事と思います。
逆に言えば、小説での格闘バトル物―――そういった、体の動きを小説で説明されそれを頭の中でイメージしながら楽しむという作品になりますので、そういった常にイメージを働かせ続け頭の中で情景を常時考え続けるのが苦手な人には、少し向かないかもしれませんね。