超鋼女セーラ2

超鋼女セーラ (2) ロボ娘はボクの夢を見る

超鋼女セーラ (2) ロボ娘はボクの夢を見る

超鋼女セーラ ロボ娘はボクの夢を見る

著者・寺田とものり先生。挿絵・Ein先生。知る人ぞ知る懐かしいTRPG『番長学園!!』世界の世界観を引き継いでいる、『現実と似ているけど異なる現代世界』を舞台にして送られる物語ですね。
・登場人物
メインキャラは、ヒロインで文武両道に優れ生徒会長を務めるが、題名通りのロボット=超鋼女である来栖セーラ。主人公で機械も人も等しく愛せる稀有な資質を持つ、人間の瀬戸茸味(せと たけみ)。茸味に暴漢に絡まれているところを助けられて以来、茸味の事を意識している茸味のクラスメートの御浜千美絵。セーラと同じ超鋼女で、別の学校に通うセーラの姉妹機、泉秋院ラヴィニア。貧乏教会の一人娘、千美絵の親友の春日井絢乃。春日井家=教会に居候しているセーラ、ラヴィニアと同じ超鋼女の姉妹機のベッキー
サブキャラクターには茸味の母親、瀬戸徳子。クラスメートの馬頭修、鹿山健介、セーラの養父、来栖ラルフ、ラルフと同業者の折神折枝、などが登場します。
セーラたち同様の超鋼女だが、『母』と慕う人の望みの為にセーラに襲い掛かるサァラが、今巻での主な敵役となっています。
・シナリオ
超鋼機武闘会予選を経て、絆をさらに強くした茸味とセーラ。順調に交際スタート!と思いきや、なかなか会えない『すれ違い』の日々が続く。人間の女の子に茸味がなびかないか心配でたまらない『ロボ娘』セーラは、ラヴィニアに背中を押され茸味に会いに行くが、彼は何者かに誘拐されていた!!寺田とものりが紡ぐ、待望の超鋼女ラブアクション、第二幕。(7&YHPより抜粋。)
・感想
この巻は前巻である第1巻の補完的な意味合いの強い巻ですね。あとがきでも作者先生自身の言でそう書かれています。セーラと茸味が付き合うことになったその後、超鋼武闘会―――スティールアーツに関しての説明、ラヴィニアやベッキー、絢乃の立場の確認。そして前巻で登場していて行動も見せていながら、その結末だけ無かったような印象のサァラの動き、と。第1巻でばら撒かれた伏線を回収しつつ新しく伏線を産み、そうしながらまだひっぱる伏線もあり、と感じましたね。
セーラと茸味の関係はあまり大きな変化は無い、ゆっくりと歩くような進展を見せています。生徒会長としての仕事の為、擦れ違い生活になっている2人ながら、互いの事を夢に見たりと直接的な進展は無いが募っていく想いという形で書かれ甘酸っぱい青春が味わえますね。
今回の話ではサァラがその存在理由と、心に浮かんだ『望み』の為、セーラに勝とうとして挑んでくる、というのが中心になるでしょうか。セーラたち同様のロボ娘―――超鋼女であるサァラが、心そのものに自覚し始めそれに戸惑いながら茸味に言われた言葉などを受け止め、徳子の助言を受けたり自分なりにその心の行く先を模索したりと、手探りで自分の心と向かい合っていく姿が印象的でした。そしてそれに対するセーラと茸味は、セーラの心の傷―――彼女の武器、BODを抜けない―――と、サァラとの戦いの中で向き合いそれを克服していく戦いの中で成長していく姿が主人公とヒロインだな、と感じますね。
また今巻ではラヴィニアにも見せ場がありました。墓参りから始まる、高飛車お嬢様的なラヴィニアの静かな一面など『普段の姿』で彼女の新しい魅力が書かれています。その分、バトルシーンはセーラや絢乃&ベッキーに譲っており、終盤では影で奔走している感じでしたが全体的にセーラに発破をかけ、茸味を励ますといったアシスターな立場で活躍していましたね。
そしてもう一組の超鋼女たちの活躍。絢乃とベッキー。こちらはセーラとサァラの戦いの場所を守るために戦う、というこちらもアシスターとしての活躍でしたね。番長能力者である絢乃が強力な制圧兵器である『番長戦車』を相手に、ベッキーと組み攻守バランス良いコンビとなって派手にそして圧倒的に活躍していました。
総じて今巻では第1巻の補完。それから新しい伏線を引きながら登場人物たちの成長や魅力の掘り下げ、というシリーズものとしての順当な展開が主でしたね。しかし『順当な展開』とは、登場人物の魅力が大きく面白さを左右する、ということ。それを念頭において読むと、それでも面白いこの作品は登場キャラクターの魅力が高い作品だということですね。