私立!三十三間堂学院7

私立!三十三間堂学院〈7〉 (電撃文庫)

私立!三十三間堂学院〈7〉 (電撃文庫)

私立!三十三間堂学院

天国に涙はいらない」などの著作を持つ第7回電撃ゲーム小説大賞「金賞」受賞作家の佐藤ケイ先生によるシリーズの第7巻。今巻は短編集ですね。
・登場人物
お嬢様で女子生徒ばかりの三十三間堂学院の共学化に先駆け、1人だけ受け入れる事になった男子生徒。その男子生徒こと「後白河法行」を主人公に、様々な女生徒たちとの交流を書かれるシリーズ。それがこの「私立!三十三間堂学院」です。
今巻は短編集で、登場人物も多く―――といってもこのシリーズは元々書ききれないほど大量の登場人物が出てきますが―――スポットを当てられているキャラクターは毎回違います。
大体で書くと、五部浄里、増永南、天持東、西村千秋、北川冬美、金田伊緒、浜まゆ、千住花音、樋場香菜、柴又かずち、山路あや、といった所ですか。これ以外にもちょい役などで大勢出ております。
・シナリオ
東校舎一年の樋場香菜です。今回は短編集ということで、夏休み中のお話を中心に全六話収録となっています。花音お嬢様が本宅にお帰りになられた時のご様子を描いた一編では、日頃あまり見られないお嬢様の本当のお顔を垣間見ることが出来ます。学校にいる時とは全然違うお嬢様の知られざる魅力をたっぷり味わってください。わ、私も少しだけ登場してますけど、あくまで私はお嬢様のおまけなので、見なかった事にしておいてください…うぅ…。後は、法行さんのご両親のお墓参りのお話と、生徒会の皆さんのお話が二本、剣道部の夏合宿、そして番外編でバレンタインのお話が収録されています。(7&YHPより抜粋。)
・感想
第6話の裏話、臨海学校の下見にきていた生徒会と学院唯一の男子ということで同行していた法行が、下見先の海でかずちが巻き起こしたことでひどい目に会ってしまう「夏の海ひねもすげろりげろりかな」。
剣道部の金田伊緒と浜まゆが、剣道部夏合宿を一般の剣道、居合い道を道場で習っている人たちと一緒に浄里の指導の元で行っている時に起きた、古美術品窃盗犯と伊緒との本物の決闘が書かれる「剣道部夏合宿」。
夏休みの最中、花音と香菜、法行が千住家本宅に帰宅することになりその中で香菜が一杯一杯になりながら頑張る姿と花音が完璧なお嬢様姿を見せる「千住家本宅帰宅」。
法行が父母の墓にお参りをし、それに付き合ったかずちが初めて法行の両親が亡くなっていることを知り法行の心の辛さをかずちが知る「墓参り」。
夏祭りの中で、はしゃぎ騒ぐ生徒会の面々の中、生徒会四天王と呼ばれる一角である天持東がそんな場所でも何かと気苦労するが報われる事もありで楽しくやっている、といった姿が書かれている「夏祭り」。
そして聖バレンタイン・デーを前にして法行の存在が周りに与える影響を鑑みてバレンタイン禁止令が出たりする、バレンタイン・デーを巡る女性たちの陰謀や思惑を色々と書いた「番外編 聖バレンタイン・デーの抗争」。
これら電撃hpに掲載された2本と、夏を舞台にした書き下ろし4本の以上6作品が収録されています。
短編集ということで、第6巻の裏話的な話と、普段は後白河法行をメインに据えた形での話やヒロインを一人据えて文庫1冊分などで展開されていた話が、今回は話数事に区切られてそれぞれの主役として掲げられるヒロインが話を展開していく形になっていましたね。文庫一冊で一人のキャラを掘り下げて書かれている形式に比べると話がどうしても短いですが、新キャラではなくこれまでに登場したそれぞれのキャラにクローズアップして書かれているので、短期集中的な扱いとして既出キャラの魅力を再度掘り下げる、といった形になっていましたね。