乃木坂春香の秘密7

乃木坂春香の秘密(7) (電撃文庫)

乃木坂春香の秘密(7) (電撃文庫)

乃木坂春香の秘密

著者・五十嵐雄策先生。挿絵・しゃあ先生による『お嬢様のシークレットラブコメ』その第7段ですね。著者先生は他作品として電撃文庫で作中作だった「はにかみトライアングル」をスピンオフさせてシリーズとして第6段まで出しています。
・登場人物
主人公の苦労人だけど傍から見たら幸せ一杯にしか見えない、他人で唯一春香の秘密を知っている綾瀬裕人。タイトルにも名前がある通りのヒロインで超おっとり超お嬢様だけど、人に言えない&知られるのが怖くて仕方がない、オタク趣味を持つ乃木坂春香。そんな春香の実妹中学生の乃木坂美夏。イタリアでのピアノコンクールで裕人と出会い日本に戻った先の学校で裕人と再会し、紆余曲折あり裕人にほのかに想いを寄せるようになったこれまたお嬢様な天宮椎菜。乃木坂家のメイド隊メイド長である桜坂葉月、同隊構成メイドの七城那波、アリスティア=レイン。これらがメイン登場人物ってところで、他に裕人や春香、椎菜の同級生などが出てきます。
・シナリオ
容姿端麗で才色兼備、『白銀の星屑(ニュイ・エトワーレ)』という二つ名まで持つ超お嬢様、乃木坂春香。彼女と一緒に過ごした大晦日から年明けの世界で一番長い一日は……色々な出来事がありすぎて記憶もあやふやなのだが、二人にとっての秘密がまた一つ増えたということだけは確かだった。
 そして、新学期。俺と春香は椎菜の誘いを受けて、仲の良いクラスメイト達と三泊四日の温泉旅行に参加することに。友達同士の旅行は初めてという春香も心持ちテンション高く、浴衣の春香が卓球したりする姿を眺めていたりしたら、気づけばなぜか俺は女湯にいて、湯気の向こうからは聞き覚えのある声が響き──!?
お嬢様のシークレットラブコメ第7弾(はぁと)(カバー折り返しより抜粋。)
・感想
この巻は『温泉旅行の巻』ですね。これまではクリスマスや正月など年度行事を書いていましたが今巻は旅行という個人行事をメインに扱っています。
温泉ものでよく使われる基本を忘れないエロスな展開、天然&独自性満載過ぎる人柄の人たちの会話、甘々ベタベタとした青春ハートフルな少年少女の恋物語、などが楽しめるかと。
それと同時に先の気になる複線的なものも張られていたり。
春香が天然で裕人に積極アプローチ(本人無自覚)しているのに対して椎菜が裕人に対してどうにも遠慮がちだったのが、この巻では色々と偶然なども手伝ってアプローチをかけ、自分の気持ちの再確認とこれからについて決意していたりしていましたね。そんな訳で春香×裕人の作品でメインを代表するカップルのふたりに波紋を投げる存在として、椎菜もまた台頭してきた、といった感じです。先の巻で名前だけとか顔見せで、とかで登場しているキャラなどもいる事を考えるとこの先、人間関係は色々と複雑化しそうな感じですね。それでも作品の風潮とかでどこかのんびりしたものにはなるのでしょうが。
そんな感じで、この巻では温泉や雪山での『お約束』をきっちり踏襲しつつ、旅行先というちょっと違う世界でそれでも甘い日常を繰り広げる様子が見られましたね。何処に行っても裕人と春香はこういう世界を作るのですね、と。