マブラヴ4

マブラヴ4 UNLIMITED 敗北

原作・アージュの某人気ゲームのノベライズ作品ですね。著者は北側寒囲先生で、挿絵はBou先生で、この巻は原作マブラヴで言うところの「UNLIMITED編」完結の巻です。
・登場人物
主人公は平行世界から突然転移してきてしまった白銀武。ヒロインに平行世界で軍事訓練兵である御剣冥夜榊千鶴。珠瀬壬姫。綾峰慧。鎧衣美琴。以上6人が同部隊の仲間ということで。他には機密計画「ALTERNATIVE4」に携わる謎の少女、社霞とその計画の責任者であり武が並行世界人だと知る香月夕呼。武たちの教官である神宮寺まりも。冥夜の護衛でもある近衛軍衛士の月読真那。などなど。
・シナリオ
地球外起源種「BETA」と戦争中の平行世界に突然飛ばされてしまった白銀武は、その状況に戸惑いながらも、兵士として経験をつみ、戦術機の操縦に対して非常に高い適性を見せる。仲間たちと訓練、任務をこなしていくうち、いつしか武の中にはこの世界で守りたいものが出来ていく。しかし世界は残酷な現実を武の前に突きつける―。(裏表紙より抜粋。)
・感想
UNLIMITED編完結までを、原作ゲームにおける冥夜ルートのエンドをもって書かれている巻でしたね。原作に忠実と申しますか。原作で起きた各ヒロインキャラクターとのイベントを拾い上げて書きながら、大筋のイベントも書きつつ冥夜ルートへ、と。
原作を知らない人には多くの謎を残したまま、BETAとの戦闘も無いままでの終了と言う事で色々と不完全燃焼感が多く残るラストで、次回ALTERNAIVE編へと続いていますのでBETAという敵との戦いを書いてあるのか、前巻での夕呼との会話の結末や霞の正体などがわかるか、と期待すると間違う巻でもありますね。
基本的にこの巻ではBETAとの戦闘は無いので、武が衛士として人として男として「守りたいもの」を感じ、見つける前段階―――その準備段階の話、といった感じですね。日常だった安全な世界から非日常の、命を賭けて全人類が戦っている世界に放り出され、その中で生きていくうちに大事なものを、大切な人たちを見つけ、守るために変わっていく―――。それと同時に個人の力ではどうしようもない挫折を感じ、終わりに向かっていく世界の中でそれでも大事な人を、「守りたいもの」の為に戦い、生きていく。そんな、一人の少年の精神的な成長が書かれています。