アイドルマスターXENOGLASSIA〜絆〜

アイドルマスターXENOGLASSIA〜絆〜

著者・涼風涼先生。原作は矢立肇先生。挿絵はEin先生です。涼風涼先生は、ニトロプラスデジターボの人で、スニーカー文庫で『斬魔大聖デモンベイン 無垢なる刃 (角川スニーカー文庫)』を初めとする『デモンベイン』シリーズの一部や、『ハローワールド 青い記憶 (角川スニーカー文庫)』などのニトロプラス作品のノベライズ、ガガガ文庫で『ケータイ少女―トライアングルスピリッツ (ガガガ文庫)』などを著されてますね。
・登場人物
主人公ヒロインで、意志をもつ隕石除去人型重機『アイドル』のひとつ、機体名『インベル』に選ばれたパイロット=アイドルマスターである少女、天海春香。同様の隕石除去人型重機『アイドル』のひとつで、機体名『ネーブラ』のパイロット=アイドルマスターである水瀬伊織。ネーブラのアイドルマスターの座を伊織と競っている天才少女の菊地真。アイドルの運用を補佐するオペレーターである萩原雪歩。他に彼女達が所属する多国籍企業『モンデンキント』の日本支部の関係者たちが出てきたりしますね。アイドルの整備者とか、責任者とか。
敵としては、かつてインベルアイドルマスターであり、今はテロ集団『トゥリアビータ』のアイドル・ヌービアムのアイドルマスターとなっているが未だにインベルに執着する如月千早。トゥリアビータの指導者で科学者のカラス、などですか。
・シナリオ
“月の崩壊”と呼ばれる謎の宇宙現象によって、人類にもたらされた隕石除去人型重機“iDOL”。ふとしたことからそのパイロット“アイドルマスター”となった天海春香は、相棒のアイドル・インベルと心を通わせながら、日々地球に降り注ぐ隕石を破砕し続けていた。「インベル、アクトオンッ!」その日も春香の力強い叫びを胸に、宇宙に飛び立つたインベル。だがそこに突然彼の最初のマスターである如月千早が現れ、別のアイドル・ヌービアムで春香に襲いかかってきた―。TVアニメの魅力をたっぷり詰め込んだ、アイドルとアイドルマスターたちの絆を描く純愛ストーリー。(表紙折り返しより抜粋。)
・感想
TV版を小説にしたということですが、TV版を見ていなかったのですがかなり削られているのではないかと思いましたね。それくらい、唐突かつ突然な展開が多かったです。平和に孤島の島にアイドル整備に出ている話があったかと思えば、次には街が大変な事になっていたり。間が端折られてて、展開の急さに所々付いて行き難いところが多かったです。
登場人物―――ヒロインの天海春香の心境の変化もそれに合わせて大幅過ぎる位性急且つ大胆に変わっていて、春香というヒロインの性格を掴むのも難儀しました。アイドルとアイドルマスターの絆を描くということで、春香とインベルの互いを信じているような阿吽の呼吸の関係や、ネーブラにかける伊織の情熱などが書かれていましたが、いまいち書ききれていないというか。TV版では書かれていたのかも知れませんが、端折りすぎてて小説版ではどうもあっさりし過ぎている気がしましたね。春香とインベルの関係に千早が入ってふたりの信頼関係にヒビが―――みたいなところは良かったですが、その先があっという間すぎて展開についていくのが精一杯、ということも。千早の性格が凄まじくダークになっていましたので、その心境の変化=半狂気化も春香とインベルの関係を一度見ただけでなったりしていて、本当に突然過ぎるというか…。ネーブラを巡る伊織と真の話は最終戦闘直前に思い出したように出てきたりもしていて、とにかく、性急と言うか急すぎる展開が目立っていました。
そんな訳で、この作品はTVを見た人には物足りず、TVを見てない人には急すぎる展開に違和感を感じる、そういった点をすべて許容してそれでも買うと言う、本当にファンが買うための小説ではないかと思いましたねー。