レンタルマギカ11

レンタルマギカ―妖都の魔法使い (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ―妖都の魔法使い (角川スニーカー文庫)

レンタルマギカ11 〜妖都の魔法使い

著者・三田誠先生、挿絵・pako先生による異種魔法格闘戦ノベル、ですかね。三田先生は他にスニーカー文庫「精獣戦争」シリーズなどを書かれていて、pako先生はPS2ゲーム「シャイニング・フォース イクサ」などの原画を描かれていますね。
・登場人物
主人公の魔眼持ちで社長の伊庭いつき。ヒロインにアストラル社員でケルト魔術使いの穂波・高瀬・アンブラー。サブキャラクターに陰陽道でオカルト雑誌や占い誌でライター業を営む猫屋敷蓮、小学生だが巫女でもあり過去の辛い思いを乗り越えてひとつ大きくなった神道の葛城みかん。騒霊現象<ポルターガイスト>を起こせ加えて顕現現象<アポート>も使えるようになった文字通りアストラル幽霊社員の黒羽まなみ。先代アストラルメンバーで、両界曼荼羅を使う頼れる兄貴的な密教法師の隻蓮。第10巻から登場の新キャラクターは、ルーン魔術使いでアストラル会社員としても有能な敏腕新入社員、オルトヴィーン・グラウツ。以上が魔法使い派遣会社「アストラル」陣営という形で。
純正魔法使い集団「ゲーティア」陣営ではありますが、アストラル経営権の2割を持つ大株主という立場を持つとして、穂波同様ヒロイン格ということでソロモン王の魔術使いアディリシア・レン・メイザース
敵役として『螺旋なる蛇』メンバーの<永遠>の座・メルキオーレや、人造人間<礎>など一風変わった魔法使いたちが出てきてましたね。
・シナリオ
“アストラル”のメンバーは“協会”の審査を受けるため、英国・倫敦にいた。巨漢の錬金術師の手による魔法使い殺人を合図のように“螺旋なる蛇”が“協会”本部を襲撃、最強と呼ばれていた魔法使いたちが次々と倒されていく。みかんの絶対防御も異国の地では発動できず、いつきも穂波達とは散り散りに。果たして“アストラル”の命運は!?そしてついに発動する「魔法使いを罰する魔法使い」影崎の真の力とは!?大人気異種魔法格闘戦。(裏表紙より抜粋。)
・感想
この巻は新章スタートでも舞台は日本だった前巻からさらに様相を変え、舞台を霧の都・ロンドンに移しての話です。舞台が日本から離れ魔法使いの本場になった分、『魔法使い』たちの世界がより強く書かれている巻でもありましたね。
新登場の協会副代表のダリウス・レヴィや、穂波たちのロンドンでの知り合いであるマクレガー教授、魔法使い専用ホテルを切り盛りするジェロームなど、魔法使いの関係者が多く登場しているのも見るところでしょう。一般人側=依頼者、あるいは巻き込まれた人。魔法使い側=アストラルやゲーティアの面々。これで一般人側を魔法使い側が手助けするという形だったのが、これで取り巻く周囲の環境そのものが魔法使い側になっていて、これまでの「一般人を助けたりする魔法使いの話。たまに魔法使い同士の話も?」が、この第2章から本格的に「魔法使い同士の話」となっている…というより、そこがメインになっていて『日常の中の非日常』的だったいつきたちがむしろ中心になっている、と感じましたね。
またこの第2章第2巻から本格的に『螺旋なる蛇』が動き出し、『あの』登場人物が『螺旋なる蛇』に巻き込まれていてその関係で『あの子』が再登場して、そこから話が進むというストーリーは第1章で積み重なっていた伏線や人物を使いながら第2章が進むのか?と、『懐かしのあのキャラ』的な再登場に期待が高まる進み方でしたね。
ですが何と言っても、『魔法使いを罰する魔法使い』こと協会の影崎の活躍もまたこの巻での見所のひとつでしょう。これまでアストラルが事件に際した時、『彼』を動かさないために必死になっていたその理由。影崎の真価の一端が書かれていて、猫屋敷などが影崎のことを恐れる理由として納得ができる彼の真価の書かれ方をしていましたね。その力は反則級だろー、と。同時にようやく影崎の力がどれほどの物なのか気になるところがひとつ解消されてスッキリ、でもありましたねー。