学校の階段7

学校の階段〈7〉 (ファミ通文庫)

学校の階段〈7〉 (ファミ通文庫)

学校の階段

著者・櫂末高彰先生。挿絵・甘福あまね先生による、ちょっと特異な部活動に青春と情熱を掛けることを選んだ学生たちが送る日々を書いた、学園青春グラフィティ作品の第7段です。
・登場人物
主人公の階段部平部員、通称「缶バッチ」こと神庭幸弘、階段部部長で超ワガママッ子な「静かなる弾丸」の二つ名を持つ九重ゆうこ、階段部副部長で二つ名「必殺Vターン」を持ち部長・九重ゆうこのお目付け役の刈谷健吾、階段部メンバーに「黒翼の天使」天ヶ崎泉、「天才ラインメーカー」三枝宗司、幸弘と同じ1年で親友の「月光ダンシングステップ」井筒研。これら階段部メンバーに加えて幸弘の従姉妹四姉妹や、他校生で文化祭で階段部と対抗レースのような事をした学生たちを中心に話が進んでいきます。
・シナリオ
生徒会長選挙への立候補を決意した幸弘だったが、すでに御神楽の応援体制に入っていたクラス内では当然ながら孤立気味に……。しかし、こんなときに頼りになるのはやはり階段部!
推薦人には井筒、広報活動に九重と天ヶ崎、そしてブレーンに刈谷と三枝という超攻撃型ショットガン・フォーメーションの布陣で選挙戦に挑む事に。果たして次期天栗浜高校生徒会長は誰に決まるのか!?ビバ青春の無駄足!話題沸騰、暴走する青春グラフィティ第7弾!!(カバー裏より抜粋)
・感想
今巻では階段部としての活動が―――所謂『階段レース』がほとんどありませんでした。メインは神庭幸弘と御神楽あやめの生徒会長選挙の様子。2人の違う意見の激突というか、それぞれの意見を掘り下げたところにあるものを互いに突いていくとかの、頭脳戦の様相が強かったですね。
裏のある事情で生徒会長就任を目指す御神楽。それとは知らずそんな御神楽の裏側をつつく様子で対立する形になる幸弘。最初は熱意と気合だけだった幸弘だったが、御神楽の話を聞くうちに感じた事や会話のやり方、そういったものを吸収してやがて幸弘は少しづつ成長していき、迎える生徒会長候補同士による意見を交換しぶつけ合う立会演説会に挑む。その様子は幸弘がやはり主人公というか、物事を吸収して身につける力に優れていて、その上で周りと協調し協力できる性質なんだなぁ、と再確認できましたね。そしてラストでの御神楽も許す度量の広さ―――というか、器の広さはそこを再認識させてくれました。
そして今巻でもやはりあった筋肉。相変わらずのそのスタイルに、筋肉が出てくるたびにニヤニヤしてしまいました。しかも今巻では筋肉研究部にも快挙が!さらに御神楽に筋肉研究部のことを揶揄された幸弘の思わずの発言には表情を変えずに読むのが辛かったです。(笑
総評してこの巻では『階段レース』そのものはほぼありませんでしたが、その階段レースを通じて知ったこと、階段部のメンバーと一緒に協力して生徒会長選挙に挑んでいるなど、これまでの話を通じて幸弘が得た経験や人脈などが生きていて、知識と経験と感、そしてその場その場での一般生徒の理解を得た上で進めていくのが階段レース、という意味では何かしら通じるところを感じましたので、これも一種の変則的な階段レースかな、と思いましたね。