モノケロスの魔杖は穿つ3

モノケロスの魔杖は穿つ〈3〉 (MF文庫J)

モノケロスの魔杖は穿つ〈3〉 (MF文庫J)

モノケロスの魔杖は穿つ3

著者は伊都工平先生、挿絵は巳島先生です。
伊都先生は他作品として「天槍のバシレイス」「第61魔法分隊シリーズ」などを電撃文庫で著されたそうですね。
・登場人物
主人公らしく巻き込まれ体質で首突っ込み性質で最近『王国』における『王』を担う事になった立木ヒロ。ヒロインで魔女な美少女で『王国』において『魔術師』を担う真名辺麻奈。サブキャラクターは風紀委員で正義の人で『王国』において『騎士』を担い神剣アレイオンの正統な所持者ともなった勇者でもある長川律、ヒロの姉の霜夜としての顔を持つ元『王国・煙立つ鏡』の『王』で今はヒロの『王国』で『司祭』を担うセシリア、新王国の「王」であるヒロを監視、あるいは暗殺する為に東日本最大の王国「牟耶志国」から派遣されてきた風祭出海、同様にヒロの監視にやってきた喜連川尊照、四方邦城、律の友人の新田玲子といったところで。
敵役としては今回は姿をほぼ見せずに暗躍するトリンキュローと天球議会がやはり明確に見える敵ですかね。
・シナリオ
五月に入り、突如実施されたクラス換えにより異能転校生ばかりが集まったクラスにヒロや麻奈、律といった面々が隔離されるところから始まるこの巻。そんな異能クラスの委員長を決める折りに律の友人、新田玲子を委員長にと推すヒロと、麻奈のことが好きだと公言して自分が委員長をすると主張する喜連川とが対立し、実力勝負の戦いが起こることになる。勝ち抜き試合形式で決めることになる決着のつけ方。だがその裏では天球議会が暗躍していて、トリンキュローが密にあることを狙ってヒロたち異能クラスの中に潜伏していた…!委員長決定戦の中で狙われるヒロたち。校内を舞台にした『迷宮』の罠が発動した時、ヒロと麻奈に最大の危機が迫る―――ついに復活するヒロの姉、霜夜も参戦したヒロたちの「荏原の王国」は、天球議会の思惑を打ち破れるか…!? と、いったところで。
・感想
今巻は時間軸上で少しややこしい話の説明があったりして、中々スルッとは読めない巻でしたね。
スリードによる読者まで騙すようにして潜むトリンキュローや、過去と現在とで錯綜する情報。麻奈の探し人の正体やヒロの真の名前が明かされたり、思いがけない関係が明るみになったり、カドゥケウスの杖をヒロが使える理由が明かされたりと、読み応えは大きい巻でした。また後半で出てくる『迷宮』も、ゲーム風でありながら真剣勝負というやつで、今回はこれまで以上の私的感想ながら「宵闇幻燈草紙(メディアワークス刊、漫画・八房龍之介)」のような展開だな、というのが強く感じたところです。なんか明るいというか軽い言動ながら、その実行われているのは命を賭けたやりとり…。そういったところで共通点を感じたという程度ですが、イメージとしてそういったやり取りは似ている気がするな、と。
しかしながらラスト、あの展開は驚きですね。どーするんだろうここから…と思わず唸ってしまう幕引きで、異様に鬱な展開にならないといいけど…と思わず変な心配をしてしまうくらいに意表をついた幕引きだったのが印象深かったですね。