モノケロスの魔杖は穿つ2

モノケロスの魔杖は穿つ〈2〉 (MF文庫J)

モノケロスの魔杖は穿つ〈2〉 (MF文庫J)

モノケロスの魔杖は穿つ2

著者は伊都工平先生、挿絵は巳島先生です。
伊都先生は他作品として「天槍のバシレイス」「第61魔法分隊シリーズ」などを電撃文庫で著されたそうですね。
・登場人物
主人公らしく巻き込まれ体質で首突っ込み性質で最近『王国』における『王』を担う事になった立木ヒロ。ヒロインで魔女な美少女で『王国』において『魔術師』を担う真名辺麻奈。サブキャラクターは風紀委員で正義の人で『王国』において『騎士』を担う事に巻き込まれた長川律、ヒロの姉の霜夜としての顔を持つ元『王国・煙立つ鏡』の『王』で今はヒロの『王国』で『司祭』を担うセシリア、新王国の「王」であるヒロを監視、あるいは暗殺する為に東日本最大の王国「牟耶志国」から派遣されてきた風祭出海、といったところで。
この巻では他の登場人物は律の師匠に当たる女性や、律と同門の修行生と、律の交友関係が中心で出てきていました。
敵役は『道化師・トリンキュロー』と名乗る人物。天球議会と呼ばれる一団に所属し、この巻では基本こいつ1人が相手でしたね。手先として「アルゴスの巨人」と呼ばれる者たちがザコっぽく出てきていました。
・シナリオ
この巻は前回たまたま巻き込まれただけにも見えた長川律の物語。彼女にも彼女なりの理由があり、それにより戦っていること、これからも『王国』の『騎士』として戦っていくことの決意に関してが主な話の流れになるでしょうか。
長川律が師匠について修行する場所にある『神剣・アレイオン』。これを抜く者は勇者と呼ばれる。これを律はある目的の為にいつか抜くべく修行をしていた。だがいまだ抜けない―――そんなある日、律の修行場にヒロと麻奈とが迷い込んでくる。ヒロの『王国』の建国によって不安定になった魔力の流れにより、隠れ里の如く外界から隔離されていた修行場が外と繋がっていたのだった。そこに律が居た事に驚きながらもヒロたちは律の師匠などに誘われるまま、律の修行に同行したりして「長川律」に少し触れ、彼女を少し知る。だがそんな、ちょっと変わった一日でしかなかった筈のその日は『道化師・トリンキュロー』が隠れ里を見つけたことにより一変する。
『神剣・アレイオン』を捜していたトリンキュローにより発見され、一挙に神剣を巡る大戦争の様相を見せる隠れ里の面々とトリンキュローが所属する天球議会。隠れ里は天球議会が放ったアレイオン探索の尖兵「アルゴスの巨人」たちに狙われることになる。退去して海から押し寄せるアルゴスの巨人たち。対抗して迎撃する隠れ里側は「竜」を出したりヒロたちの協力を受けたり果ては「大日本豊秋津洲」という日本そのものとも言える神を出したりと、かなり怪獣大戦争な様相を見せていっていました。
・感想
序盤は律を中心とした日常にヒロたちが触れ、ヒロたちの視点で日常を見ながら律を知っていくという形で。後半は怪獣大戦争な中で、律が真実を知ったことによる葛藤と自分の感情との折り合いをつける様子、『騎士』として正義としてどうあるべきかと悩んだ結果、答えを出すまでの苦悩を書いているといった感じでしたね。そんな訳でこの巻は長川律の巻、ですね。
天球議会やトリンキュローが出てきたりして明確な敵っぽい存在が書かれていたり、前巻ラストで仲間になったという形でほぼ出番というか見せ所の無かったセシリアにスポットを当てたりといったこともありましたが、律が悩み、自分の答えを出すために色々と布石もありましたのでやはりどう見てもこの巻は「長川律の巻」ですかねー。