まじしゃんず・あかでみぃⅡ

まじしゃんず・あかでみぃⅡ 聖母抹殺!?

著者・榊一郎先生。挿絵・BLADE先生によるゲーム化もされた人気シリーズの第2作目ですね。
構成的には第1巻である前作と続いている形で、この第2巻で第1巻からの話がようやく1段落、といったところでしょうか。
第1巻で主人公の羽瀬川拓人が謎の魔神・タナロットを召喚してしまった事から始まった大騒動。幼馴染で特殊な体質の従姉の鈴穂とタナロットの確執がぶつかって起こった第1巻の騒動を経て、第2巻は拓人は自宅謹慎の身から始まります。タナロットの人間とは違う物の考え方、思考形態、受け取り方に戸惑う拓人。そんな拓人とタナロットに巻き込まれるように、また自分からも進んで巻き込まれながら関わっていく鈴穂。一種ハチャメチャな生活をしているそんな拓人たちだったが、影では着実に陰謀が動いていた。2人の女の暗躍。狙われる拓人たち。彼女らの狙いは?聖母の正体とは…? といったところで。
陰謀を感じて榮太郎もまた魔界に行ったり、色々と動いていましたね。そして最後に明らかになる「聖母」の言葉の意味。タナロットの正体…そういったものが一挙に明かされていました。そして明記されてはいませんでしたが、栄太郎の正体についても推測が立てられたりと見所は多いと思いましたね。第1巻で不完全なまま終わった部分を、しっかり補填していると言いますか。
また遊び心も満載でした。榊&BLADE両先生の超☆趣味としか思えない&どうもその通りである様子の、獣耳を持つ某ゲームキャラのフィギュアの描写と挿絵。往年のアレを彷彿するフィギュアの描写にはその志向を見守る温かい目線が思わず溢れ出てしまいますね。
また陰謀側―――刺客のミヤビとシンクラヴィア。その登場と戦闘は盛り上がりの1つでした。音の魔物であるシンクラヴィアは、拓人を相手にしている時は典型的な敵役として拓人を追い詰めていて敵役として決まっていました。次の相手が相手だけに少し間抜けになってやや不遇な感じでしたが。ミヤビは術によってタナロットを封じて、ある意味完全に勝者でしたし、助けに来た拓人相手にも良い所まで追い詰めて盛り上げていましたし。とは言え、拓人の大博打―――自分の能力を自覚した後の駆け引きでは見事にやられていましたが。
総評して、この巻は「第1巻で一端落ち着いた騒動の、消えていなかった火種を解決する話」でしょうか。
タナロットの正体。拓人が自身の能力を自覚する。その重要な二つを明かしながら、陰謀―――ミヤビとシンクラヴィアの襲撃を退ける。世界規模の話の中で、いわゆる中ボスを倒した、みたいな状況の変化でしかない気もしますが、それでも一端の物語としての終息を迎えるまでが書かれていたと感じましたね。