デモンパラサイト・リプレイ 剣神1

デモンパラサイト・リプレイ 剣神1 継承者

著者・力造先生。挿絵・今野隼史先生によるプレイヤーキャラクター(以下PC)たちが「悪魔寄生体」と呼ばれるモノに憑かれる事によって「悪魔憑き」と呼ばれる超常能力者となって遊ぶTRPGシステム、デモンパラサイトのリプレイシンシリーズですね。著者の力造先生はデモンパラサイトの別リプレイ「悪魔憑きの放課後」などの「悪魔憑きの〜」のシリーズもやっており、挿絵の今野隼史先生は「七人の武器屋」シリーズの挿絵などを描かれていましたね。
この「デモンパラサイト・リプレイ『剣神』1巻」は、天然で面白い台詞を放つ主役級として扱われている明坂聡美 女史扮する三男・御剣凪。きくたけリプレイなどで有名でバランス良いぶっ壊れPCをプレイすることでは右の出る者の無いベテランゲーマー・田中天 氏が扮する長男・御剣嵐、「新ソード・ワールドRPGリプレイNEXT」シリーズでGMを務める藤沢さなえ 女史扮する次女・御剣楓、「ローズトゥロード」「無限のファンタジア」というリプレイで活躍している河村有木生 氏扮する御剣颪。この4人のPCでプレイされています。
PCたちは特異な寄生体に憑かれていることで様々な奇行を時折したりするという演出がありますが、このシリーズでも御多分に漏れずその傾向は発揮されていました。外見が妙に蟲蟲して奇行も蟲っぽい演出がされている次男。戦闘時に意味不明の言葉しか話せなくなる長男。など、異色性十分です。
この新シリーズはPCたちがひとつの一家をロールプレイし、1つのパーティとしているタイプです。長男、次男、三男、次女の4人をプレイヤーがPCとしてプレイし、長女はノン・プレイヤーキャラクター(以下NPC)として物語の導入などに使われています。
ストーリーはNPC長姉が行方不明になり、それを一家で捜すうちに、謎の石を三男が手に入れたり三男の幼馴染が誘拐されたりと言った事件が起こりながら進んでいきます。今巻はまず最初としてパーティ結成と最初の山場、そして謎の石の力の発揮される事が書かれています。一家がパーティである為、そのままパーティを組むと言う流れになりそうですがそこに一考を入れ、兄弟姉妹間ではまずお互いが悪魔憑きであることを知らないとし、それを互いに知り合うまでを演出してパーティ結成に彩りを加えていました。パーティを組むと言う予定調和にワンクッション入れる事で、テンプレートな展開にならないように気を使っているわけですね。
キャンペーン通してのストーリーは、1巻ですしまだ途中ですが「日本神話」を取り入れたストーリーのようですね。
謎の石の力で凪が得た必殺技に固定名称「十握剣」が使われていたり共生武装の名前に「アメノムラクモ」と名付けられていたり、敵の雑魚の名前が「ヨモツイクサ」だったりと、その辺りは純日本風です。内容としても怪しい人間を推理したりして先の展開を推測しながら行動を決めていたりと、勢いで進むテンポの良いところもあれば知的な展開もありと結構見事なプレイをしています。
総評して、「悪魔憑き家族の陰謀に巻き込まれる導入リプレイ」といった感じですか。
謎の石を求めて動く敵と狙われるPCと言うオーソドックスな基本設定。ベテランPCのキャラクター性を特化して盛り上げるリプレイ。初心者による意外性のある行動。そしてシステムによる燃える展開。若干GMによるマスタリングの甘さやゲームバランスの甘さなど目に付くところもありますが、良い意味で単純に楽しめる作品ではないでしょうか。