SWRPGリプレイ集xS2

ソード・ワールドRPGリプレイ集xS2 猫の手勇者くん、突撃!

著者・清松みゆき先生。挿絵は牛木義隆先生とマップイラストで小林裕也先生です。
TRPGシステムとしてかなりお馴染みな感のある、『ソード・ワールドRPG』のシステムによる正統派ファンタジックアドベンチャー物、でしょうかね。一部正統派とも言えないようなネタはありますが、それはそれ、で(笑
少しだけ魔法も使えるファイターのウィンドをリーダーに、ハーフエルフでソーサラーで幸運神のプリーストというなんとも形容し難い特徴を併せ持つユーリリア、家出娘でレンジャー&シーフの突撃娘モニカ、そんなモニカに連れられるままに冒険者になったシャーマンのトリム、「ふぃぎゅあ」製作に燃える知識神プリーストだがシーフも若干こなし、固いので前衛もできるというオールラウンダーなズン。この5人が繰り広げるドタバタ珍道中。これに、今巻から一時的に前衛不足になるパーティを補強するべく参入する前巻の敵役で実はウィンドの弟分的存在ファイターのジョージが参入しての展開になります。
今巻は結構意外性に富んだ巻でした。パーティのPCキャラクターひとりのパーティの離脱。新PCキャラクターとして以前敵だったジョージが参入。キャラクターの能力が呪いによって1日1回、運によって下がる事になったり、『VEコンバット』と呼ばれる簡易戦闘システムの導入と、色々やってる印象が強いです。
ストーリーとしての進展としては、1巻で冗談のように口にしていた存在が明確に『敵組織』として登場して、終わった前巻から続いている。といった形でしょうか。前巻で倒して捕らえた組織メンバーなんかとごちゃごちゃやったりしつつ、組織のボスを捜して冒険して、合間に寄り道したら組織と関係があったり、とかいった感じで『敵組織』とちょっとしたところで繋がって話が広がっていっている、という感じですね。
戦闘における展開は基本的には「ウィンド攻撃で瀕死になった敵をモニカがトドメだけ刺す」か、「後衛による魔法で撃沈」ってところですかね。戦闘に入るまでは知恵を絞ったりしていますが、同システムによるシリーズ「ぺらぺらーず」に比べると知略戦という点では明らかに見劣りしていますかね。でも、その分王道的な展開が根幹にあるので、その辺りで期待通りに進んで暮れて安心な面もあります。ただ今巻はその王道を走った結果がちょっと「ええっ!?」な展開になったりもしていましたけども。(笑
総評して、この巻は「慢心が呼んだ危機」が全てだった巻でしょうか。
パーティの屋台骨が、後の展開に関してあまりに迂闊だった為にパーティ離脱の憂き目に。そこから始まる新キャラクターでの苦悩と、GMの話し繋げの苦悩。リプレイ全体の危機という感じで。
人と人のやり取りで成立するのがTRPGなだけに、慢心から来る思ってもみない危機状態は、プレイヤーだけでなくGMの首も絞めるのだなぁ、と痛感させられる一冊でした。