迷宮キングダムリプレイ1

迷宮キングダムリプレイ1 黙示録の乙女

TRPGシステム・『迷宮キングダム』のシステムで遊んだリプレイ本です。
迷宮キングダム』とは、文字通り世界の全てか迷宮で、その中でプレイヤーたちが築き上げる『王国<キングダム>』を守りながら成長させながら、GMが用意したシナリオで遊ぶというもので。基本的に王国が強くなるとプレイヤーキャラクター(以下PC)が強くなると言うシステムです。が、それ以外にも領土を開拓できたり未知のダンジョン部分を解明に出れたりと遊び要素は色々と多いもののようですね。
さてこの『黙示録の乙女』。これはPCたちが作る王国を<学園>として、学園を経営をしながらその版図拡大を目指すというものがスタート当初の形式でして。
PCメンバーは、ヒロインでもある女PCで学園経営者のリジィ。学園とリジィに仕える従者ユサン、神官のわさび、そして転校生としてやってくる少年騎士テトリス。この4人がパーティーとして活躍します。
ストーリーは、最初はお約束の小さな事件からスタートです。学園の予算を奪った盗賊を追いかけていったり、ヒロインで主人公のリジィの盗賊の父親が出てきたりと、内輪な話で進みます。が、第2話からいきなり急展開。同盟国でのパーティに出たリジィが同盟国の客人や要人を殺害した事になり、ゲストから一転、追われる身となり、同盟国の追っ手を回避しつつ真犯人を探すシティ・アドベンチャーになります。そしてその結末もまた驚く物というか、キビしいもので。この辺りは文庫化するリプレイといっても甘くなく、シビアに徹しているGMが見れて好感でしたね。
またリプレイならではの掛け合いの面白さも悪くなく。ホイホイと交わされる会話はテンポ良くて読んでいても飽きの来ないもので、さらにその間にも思考が働いていて先手必勝で圧倒したりするところ、リプレイという読み物としてとても楽しく読めましたね。
悪点をあえて上げるなら、少しばかり古いネタが使われていたりすることがままあったことですかね。過去のRoll&Rollで掲載されたり紹介された作品のネタとか出てきてもわからないところがあったのが残念かと…
ゲーム用語の解説は上手くやってます。本書のページの左側に、そのページごとに初出でわかりにくそうなルールやアイテムの紹介はピックアップされて解説されていて、あれ?と思った時に結構すぐに解説が見れるのがよかったですね。初めて見るTRPGゲームだけにわからない用語とか多かったんで、とてもシステムを理解しやすかったです。
総評して、このリプレイはキャラクター性、使用TRPGシステム、ストーリー、解説などの本の構成と、どれもとてもバランス良く出来ていると思います。
ですがそれだけに、続刊形式のこの作品。少しでもストーリーが難解になったり、あるいは未使用のシステムを導入したりしてそれが読者にとって難解だった場合、いっきに熱が冷めてしまうのではないでしょうか。つまり飽きられやすくなってしまうかもしれない、と私は思いましたね。この絶妙のバランスで出来た迷宮キングダムリプレイ。新しいTRPGシステムのリプレイ化ということで今後、とても楽しみですが同時に今後の展開が心配でもあり。と言ったところですかね…