賽子の国の魔法戦士

賽子の国の魔法戦士

ソード・ワールドリプレイ集のアンソロジー・バージョン第2巻。
この巻では、遠い過去に既に廃刊…というか名称が変更されたTRPG等の情報誌「RPGマガジン(現GAMEぎゃざ)」で掲載されたリプレイ作品や、日本全国レベルでTRPG好きが集まって行われるコンベンション「JGC」で公開収録された作品、また、プレイヤー側が悪役という一風変わったプレイスタイルだった作品の計3つを収録しています。
この巻、兎に角古い作品ばかりです。
RPGマガジンに掲載されていた作品「不思議な地底探検」は計算すれば16年も前の作品ですし、他の「絶対危険チルドレン」「賽子の国の魔法戦士」も2年、3年前の収録作品。しかも完結しているのは少ないです。
「不思議な地底探検」は、ソード・ワールドのTRPGシステムがまだ確立されていなかった頃。しかもいわゆるTRPG黎明期の時期の作品の為か、色々と実験的なこともやっている作品です。ですがその部分は今でも通じる発想の宝箱なので、驚かされる事は多いですね。ただしこの続きは小説で、となっています。
「絶対危険チルドレン」は、プレイヤー側が悪役として行動するというもの。ソード・ワールド小説「サーラの冒険」シリーズで出てきた悪役をプレイヤー側がプレイするという形。悪役だけに容赦無い行為も幾らかは黙認されていますので、今までのリプレイとは一風変わったプレイが見られます。唯一、一応完結している作品でもあります。
「賽子の国の魔法戦士」は、JGCコンベンションで公開収録されたものをTRPG雑誌「R&R」に掲載した分を、文庫として収録したものです。いわゆる小説の「魔法戦士リウイ」シリーズのリプレイ作品。女性プレイヤーが男であるリウイを、男性プレイヤー3人が女であるジーニ、メリッサ、ミレルをプレイしているというのがちょっと注目点ですかね。ただし、これは一番竜頭蛇尾というか、ぶっちゃけて言うと終わっていません。謎が出て、謎の解決までの道を示して、答えは書かれていない。ミステリー小説で殺人が起きて犯人が書かれずに話が終わった、と、そんな感じです。一応、話の続きは小説で書かれているそうなのでその答えは小説でわかるのでしょうが、リウイシリーズを買い集めていない私から見れば、ずいぶんと不親切な印象を受けました。こんな中途半端なところで終わりなのかよ!?と
総評して、面白い試みが多く試されている作品ではありますが中途半端な感じが強く、単品では楽しみにくい作品になっていると感じました。どれも元ネタとも言えるシリーズ作品を親しんでいないと、結末すらわからないというのはちょっと… ですね。その辺り、もう少しカバーがあれば、とも思えました。